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□甘い空気に身を委ねて、
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「絶っ対に私の方が美味しいです!!」

「聞き捨てなりませんね。坊ちゃんは私の方がお好みですよ」

「…お前らなぁ…」

バチバチと火花を散らす執事とパティシエールに、僕はただただ呆れるしかなかった。



甘い空気に身を委ねて、



たった一言、「うまいな」と呟いただけだったのに。

「伯爵は私のショートケーキを誉めて下さったんですよ!!執事は関係ないでしょう!?」

「坊ちゃんにお出ししたスイーツをたった1つ誉められた程度で良い気にならないで下さいと言いたいのです」

「良いじゃないですか減るもんじゃないし!!」

「坊ちゃんの私に対する信頼度が減ったらどうしてくれるのですか?」

セバスチャンの言葉になかなか食い下がらないこの女の根性は天晴れだとは思うが、いい加減僕を挟んでの口論は止めろ。

「お前ら、僕の前で口煩く喋るんじゃな…」

「「どっちですか(坊ちゃん)(伯爵)!?」」

大声で聞かれ、僕は思わず身を引いた。

「こんな自意識過剰執事よりも私のスイーツの方が美味しいですよね!?」

「自意識過剰は貴女でしょう。坊ちゃん、私のスイーツの方をご所望ですよね?」

「えー…」

ずいっと目の前に出された2つのショートケーキ。

先程初めて食べたパティシエールの…クラエスのショートケーキと、いつも食べているセバスチャンの(いつ作ったんだ?)ショートケーキ。

シンプルな見た目はどちらも似ているが…。

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