Red & Beautiful memory

□U.A devil and the God of death
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「セバスちゃん!!」

バーン!!と大きな音を立てて扉を開けたグレルに、掃除中だったセバスチャンはまた来たこいつ、とでも言いたげな視線を向けた。

しかし、グレルが焦りと怒りの混ざったような顔をしているのを見て、少しだけ疑問に思いながら言う。

「坊ちゃんが書斎で仕事中です。あまり騒がしくしないで下さ…」

「なんで教えてくれなかったの!?」

大声で唐突に聞かれ、セバスチャンが首を傾げた。

「何をですか?」

「カナタに昔の記憶が無いことよ!どうせ知ってたんでしょ!」

一瞬、掃除をしていたセバスチャンの手が止まった。

だが、すぐに当然のように言い返す。

「我々は使用人の過去にはそれほどこだわりませんから。それより…」

拭いていた花瓶をコトン、とテーブルに置くと、セバスチャンはわざとらしく含みを持たせた声で言った。

「おかしいですねぇ、グレルさん。あなた方が今まで知らなかったなんて」

「あっ…」

グレルがギクッ、と分かりやすい反応を見せた。

「シネマティックレコードを管理するのは死神の務めでしょう?生者のレコードだって保管しているではないですか。以前お邪魔した図書館で見ていますよ」

問い詰めるセバスチャンから、グレルが徐々に視線を逸らしていく。

しかし容赦などしない。

「人間の記憶についてあなた方死神の知らないことがあるなんて有り得ませんよね?いざとなったらレコードでいくらでも調べられるのですから。違いますか?」

「………」

「ま、その様子では話して頂けないようですが」

何も言わないグレルに、セバスチャンは特に怒りもせずに掃除を再開した。

勢いで突っ掛かってしまったことを後悔しつつ、グレルが慌てて言い訳する。

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