Red & Beautiful memory

□W.Those who look at the dead
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とある村で、突然生気を失ったように虚ろな状態になる人間が続出。

老若男女問わず、健康面にも特に異常の無かったはずの十数人が立て続けにおかしくなってしまった。

そして、その人間全員が、ある『共通するもの』を見たと口にしているという。

それは、

「それぞれの被害者にとって『大切だった人物』だそうだ。だが」

「死んだはずの人間、でしたね」

シエルの言葉を引き継ぎ、セバスチャンが説明する。

「同じ人物を見たわけではなく、それぞれの被害者によって異なるようです。ある人は恋人、またある人は家族というように」

世間的にはまだあまり知られていないが、噂は徐々に広まりつつある。

大事になる前に真相を調べてほしいというのが、今回の女王の依頼だった。

「ふーん。何それ、幽霊に生気でも吸われたの?」

「そう信じ込んでいる人間もいるらしい」

特に驚きもせずに聞いた劉に、シエルが応えた。

セバスチャンがその横で、シエルのための紅茶を淹れる。

カナタは他の仕事を指示され、すでに部屋から退出済みだった。

「また気味の悪い事件だな」

「そうでしょうか?」

シエルの呟きに、セバスチャンがどこかからかうように声をかけた。

わざとらしく目を閉じ、うっとりとした口調で言う。

「死んだ人間が大切な人に会うために蘇ってきた…いい話じゃないですか」

「そんなわけあるか」

「もしくは死にきれなくて棺桶を突き破ってきたのでは?」

「バカか、ありがちなホラー映画じゃあるまいし」

「本物のゾンビだったら見てみたいと思いませんか?」

「お前なぁ…」

ふざけるな、と言いたげに、シエルが目付きをきつくする。

そんな主人に満足したのか、セバスチャンは一息つくと言った。

「冗談はさておき、今やるべきことをやりましょうか」

「…ああ」

主従のやり取りを見て、劉が何々?と楽しげに首を傾けた。

シエルの視線が劉に向けられる。

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