Red & Beautiful memory
□U.Lady's place of exchange
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本当に見た目はただの飲み屋だった。
街を少し外れた裏道にあるのも、それなりの趣を醸し出していて悪くは見えない。
[God's feast]という年期の入った看板が掛けられている。
「『God's feast』…“神の祝宴”…か」
シエルが呟き、店に入ろうと足を踏み出した。
が、その前にセバスチャンが手をかざした。
「坊ちゃん、貴方のような子どもが簡単に入れてもらえるとお思いですか?」
その言葉にカチン、とくるも、間違った言い分ではないことにシエルは顔をしかめる。
「だからと言ってお前だけで調べさせるわけにはいかない。すべてを決めるのは僕、お前はただの駒だ」
「ええ、分かっております」
ですから、と、セバスチャンはクスリと笑った。
「良い方法があります」
***
「いらっしゃい」
店に入ってきた男と子どもに、年齢の高めに見える女店主はおや?という顔をした。
「見ない顔だね。ほとんど常連客しか来ないからびっくりしちまったよ」
「良い雰囲気の店だな、と思いまして」
セバスチャンは感じの良い笑顔を携えながら話した。
「まぁいいさ。ゆっくりしていきな…って」
セバスチャンに隠れるようにしていたシエルが、ほんの少しだけ顔を覗かせる。
「悪いねぇ、子どもはあんまり楽しめないと思うんだけど…」
女店主が困ったように言った。
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