Red & Beautiful memory
□W.Plot of devil
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「カナタ?」
「あー…えっと…」
気絶したカナタを抱えて(今度はちゃんと横抱き)ファントムハイヴ邸に姿を現したロナルドを、セバスチャンは怪訝な表情で出迎えた。
「何故死神がカナタを運んできたのです?というより、何故カナタは気絶しているのでしょうか?」
「あのー…話すと長くなるんスが…」
何となく予想していた態度、そしてグレルが執着している悪魔を初めて目の前にし、ロナルドは何を言おうかと少し口ごもった。
「その…ちょっと乱暴にしちゃった?みたいな」
「乱暴…?」
セバスチャンがロナルドを不審げに睨んだ。
「貴方…彼女に何をしたのです?」
「あっ…!へ、変な意味じゃないっスからね!?誤解しないで下さいよ!?」
ロナルドは慌ててカナタをセバスチャンに手渡すと、くるりと後ろを向いた。
「んじゃ、失礼しまっす!」
「待ちなさい」
地面を蹴ろうとしたロナルドを、セバスチャンが止めた。
「まだ話は終わっていません。カナタがこのような状態になった過程を詳しく、分かりやすく、詳細を丁寧に、事細かに説明して頂けますか?」
「(うわ、面倒くさい悪魔…)」
スピアーズ先輩みたいだ、とロナルドは内心うんざりしたが、
「(いや…でもこの悪魔にも軽く状況を把握させといた方が都合がいいかも)」
そう思い直し、セバスチャンに向き直った。
「一応自己紹介しとくと、死神派遣協会回収課のロナルド・ノックスっス。今回はサトクリフ先輩の代わりにカナタ・レアシンクの監視をしてましたが、変な黒い物体に襲われそうになったその子を助けた結果こうなりました。ちなみに半分はスピアーズ先輩のせいっス。以上」
「な…」
ロナルドは早口でそう言い切ると、すぐさまセバスチャンに背を向けた。
「あ、それから」
首だけを捻り、ロナルドはセバスチャンを見た。
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