Red & Beautiful memory

□Z.Movement of related people
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──死神図書館。


ポンッと肩を叩かれたウィリアムは、手に棚から取り出した数冊の資料を持ったまま振り向いた。

そしてその予想外の人物に、いつものポーカーフェイスを少しだけ崩す。

「あ、貴方は…!」

「しー。伝説の死神なんて呼ばないでおくれよ」

葬儀屋でいいよ、と、その本人は人差し指を唇に当てて言った。

「葬儀屋…様?死神界にいらっしゃるとは存じ上げませんでした…」

「うん。ちょっと用があったから来ちゃった」

言いながら、葬儀屋はウィリアムが持つ資料をちらりと見やった。

「あの影に関する資料ならここには無いよ」

「え?」

「は〜い戻す戻す〜」

葬儀屋はウィリアムの持っている資料を取り上げてさっさと棚に戻すと、唖然としているウィリアムに再び向き直った。

「ねぇ黒い死神君。一度、人間界の小生の店に来てくれないかい?」

「私が、ですか?」

「うん」

「上層部の死神の方がよろしいのでは…?」

「いいや。多分君が1番…いや、2番目に近いと思うからねぇ」

「はい?」

首を傾げるウィリアムを無視して、葬儀屋は袖をひらひら振りながら図書館の出口に向かっていった。

と、その途中で振り返り、

「なるべく早くね」

そう言い残した。


***


「(はぁ…仕方のない方々ですね…)」

セバスチャンは未だに騒いでいる死神2人を前に、横目で主人を見た。

指でテーブルをトントン鳴らし、普段以上のしかめっ面で死神たちに視線を向けているシエル。

…明らかに不機嫌だ。

「(短気な坊ちゃんをこれ以上お待たせする訳にはいきませんね…)」

セバスチャンはパンパン!と手を叩いた。

その音に死神2人が振り向く。

「お2人とも、もう結構ですよ。こちらも手荒な真似をしてまで聞き出すつもりはありませんので」

「えっ、手荒な真似ってちょっとしてほしいかも…」

するつもりはありませんので

セバスチャンは妙な部分でときめくグレルではなく、そんな先輩にドン引きするロナルドに目を移した。

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