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□君が笑ってくれるなら
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(………?




いつもと変わらない放課後
ただ今日の獄寺の足は
屋上へではなく
別の場所へと向かっていた


今日、いつものように
机に足をあげ、
時計を睨み付けていたとき、
ふと、ピアノの音を
思い出したのだ


なにを思うわけでもなく
無意識のうちに
自分の足は音楽室に
むかっていた


しかし、
誰もいないはずの
音楽室から聞こえるその音に
獄寺は一瞬顔をしかめたが、
目的の場所に近づくにつれ
引き寄せられるような
感覚になり、
知らず知らずのうちに
その音に思わず
聴き入ってしまっていた


「………誰だ?」


きれいな音色だった。
いつのまにか俺の手は
その扉を開けていた


〜〜


扉が開けられると
音の迫力さえも
つたわってくるようだった


((気付かねーのか…
ん?…あれは確か隣の席の……


俺はしばらくその扉に
よりかかり目を閉じて
その音色に耳を澄ませていた


.
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