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□認めたくない
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ある日の放課後事件は起こった









『………………は?』


「あゆ、遅かったですね
今何時だと思ってるんですか?」


『いや、だから…は?』


「なに驚いてるんですか?あゆ
約束したでしょう
今日君の家にいく、と」


『えっと…それ申し訳ないけど
妄想の中じゃないかな?
君の頭の中のお話に
私を登場させないで下さい
うん、ごめん謝るから
全力で土下座するから』


「とぼけても無駄ですよ」


『いや、意味不明なんですけど
とぼけてるの君でしょ
なにくつろいでんの?
ここ私の家。そして私の部屋
どゅーゆーあんだーすたんど?』


「発音が悪すぎますよ」


『うるさいわぁぁぁぁぁ!!
そこいちいちつっこむな!
ねちねちするな!!
余計なお世話ですからね
ていうかお前まずそれが何か?
みたいな顔やめたまえよ
気持ち悪いから』


「私の心を読むとは…さすが
以心伝心ですね、あゆ」


『あのー最後の私の言葉
聞こえました?』


「ほら、なに突っ立ってるんですか
早く座りなさいよ」


『スルーかよおい
つか、座りませんからね?
命の危機だからね!?
座った瞬間が私の最期だと
私の電波は予言している』


「何を意味が分からないことを
言ってるんですか?
私が貴方を襲うわけないでしょうが」


『いや、私何にも言ってないけどね
お前バリバリそのつもりだっただろコラ』



…やはりこうなった

これでも年頃の可愛い一人娘の部屋に
こんないかにも危険な野郎を
簡単に部屋に入れていいのか?
いや、よくない


誰?家にあがらせたの
誰?部屋に案内したの


「あら、あゆいたの?」


あ、でた


『いたの?じゃないでしょ
そこ普通帰ってたの?だよね!!
私仮にも貴方の娘ですが何か!?』


「永四郎くん、こんなのは
ほっといてゆっくりしてってね?」


『シカトのうえにこんなの呼ばわり…!
私泣いてもいいよね?
泣いてもいいよね!?』


「どうぞ?
俺の胸を貸してあげますから
ほら、遠慮しないで」


『ぜひやめていただきたい
その手を離せ
その汚らわしい手を今すぐ離せ』


「………………」


『…なんで急に黙ったぁぁぁ!?
いや、ごめん木手くん
そんなつもりじゃないからぁぁぁ!
本当はそんなこと思ってないんだよ
私の手が汚いから離したほうが
いいんじゃないかなぁ…?
って言ったんだよおわかり??』


「やはり素直じゃないですね、
あゆは」


『お前に私の何がわかる
はめやがったなコノヤロウ』


「フフ…」


『そこぉぉぉ!娘の危機だよ?
助けろよ、頼むから助けて!』


「ごめんなさいね?
この子照れ屋だから永四郎くんには
迷惑かけてばかりだと思うけど
よろしく頼むわね?」


『あー…うん
この人に助けを求めた
私がバカでした
ってか、え?頼むって何を?』


「いえいえ、大丈夫ですよ
俺はあゆの彼氏ですから」


『……………はい?
今なんとおっしゃいました?』


「そうよね、彼氏ですもんね」


『なにこれ?悪夢?
それとも新種のいじめか何か?』


「なにいってるの、あゆ
俺はあゆの彼氏でしょ」


『いちいち強調しないでぇぇ!!!
木手くーん、頭沸いたの?
私がいつお前の彼女になったよ』


「何照れてんのよ、あゆ
隠しても無駄よ?嘘はダメ」


『いやいやいや、
嘘ついてんのこいつ』


「そんなことあるわけないでしょ
ね、永四郎くん?」


「はい」


『いや、いつのまに私の母親を
手玉にとったんだよお前は』


「手玉?なんのことですか?(黒笑」


『あーまずその爽やかな
スマイルやめようか

日頃のストレスででっかい
冗談かましたくなった気持ちは
よーーく分かった
空気を読んでやらなかった
私が悪かったよ

でもさ、木手くん
笑えない冗談はやめません?
これ冗談なんかじゃ
すまなくなってきてますよ』


「いえ、大丈夫です
いずれ真実になりますから」


『はいはい
もう私にはチミの思考回路は
理解できない
いや、理解なんて
したくもないがな!!!』


「俺は本気ですよ?」


『何!?私の最高の嫌味を
ものともしないなんて……
アワワワワワワ』


「あゆ……」


『え、なんかヤバイ…』


急に目が本気になった木手





そしてゆっくりと木手が
近寄ってきたと思ったら




耳元で
なぜか耳元で


好きですよ


とだけ囁かれた






―え、なにこれ嫌がらせ?
嫌がらせだったらぶっ殺すわ

バカヤロウ
木手のくせにかっこいいんだよ
無駄にエロいんだよぉぉぉぉ!!








「あゆ、愛してます」










完敗です

すみません
私も木手が好きでした






その後めでたく二人は
付き合うことになりましたとさ




END.

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