命が輝くとき


□裏切りモノ
1ページ/1ページ







俺は闇の中で
信じられないことを聞いた

これは夢なのだろうか


こんなに真っ暗で冷たい
リアルな夢など、
早く覚めてくれ……!


だが、そんな俺の願いなど
脆くも崩れ去った

現実はいつだって残酷だ
そんなこと、
分かっていた…はずなのに



"もう、テニスなんて無理でしょう"


―え?今、何て言った?

嘘……だろ?


"あとどのくらい生きられるかどうかも…"


―俺は…死ぬの?


"覚悟しておいたほうがいいでしょう"


―俺は、死にたくない!!!


どうして!?なんで俺なんだ!!?


そんな非情なことばかりを
俺は心の中で叫んでしまっていた


あぁ、なんて情けないんだ

自分の不幸よりも
他人の幸せを憎むなんて



死が、死が俺を

――喰ラッテイク





少しずつ意識が覚醒していく中で
俺は誰かが啜り泣く声を聞いた


―母さんかな?
それともまた赤也かい?



俺は涙なんてでなかった
現実を受け入れていない証拠だ



今は、どうか
俺のかわりに泣いてほしい

こんなこと思うなんて
最低だけど…ね

まだ俺は
受け入れたくないから





そう、最低なんだよ


生きたいと願うのは勇者
死にたいと願うのは臆病者


でも、生き残るのは
何時だって決まってる


最後に笑ってるのは













臆病者なんだ






勇者は足を滑らせて
崖から落ちそうになった臆病者を
引き上げ助け、落ちていく



そんな中で自分は、
笑ってこういうんだ


"お前は、幸せになれ" と






だけど臆病者は結局
幸せになんてなれやしないんだ


崖の上で笑ってる臆病者は
笑顔なんかじゃなくて













ただの、嘲笑なのだから




_

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ