命が輝くとき


□天然、恐るべし
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「ついたっスねー病院!」


柳の提案を採用し
というか半ば強引に採用され
病院へとやってきた立海大R陣

柳の指示で土臭いジャージではなく
制服姿、のはずなのだが…



それでもかなり目立っている


「幸村部長どこにいるんスかね!?
柳先輩分かります?」


「あ?あぁ、632号室だと聞いている」


「63…2?だと結構上の回なんスね!」


「どうせ階段でいくんじゃろ?」


「まぁ、そうなりますね」


「柳生ーお前さん
そういうことはさらっと
いうもんじゃないぜよ」


「にしても真田はどこ行った?
ジャッカル知らねぇ?」


「あ?あぁ、そういえばいないな…」


「皆、あっちだ」


「「「「!?」」」」


驚いたのも無理はない

それは世にも奇妙な光景で犯罪……
にも見えかねない


柳の差した指の先にいたのは

小さい女の子の肩を掴んで
何かを一生懸命話している
真田だったからだ


近い、とにかく近い

唾が飛びそうだ


「副部長っ!それは流石にっ!」


「弦一郎、何をしている?
その子は知り合いか?」


焦って声をあげる赤也の代わりに
柳は冷静に問い掛けた


「違う!断じて違う!
俺はこやつにさっき…―」


『おじちゃんの、お友達?』


その女の子の一言で一瞬、
その場の空気が固まる


そして直ぐに耐えられなくなり
皆が勢い良く吹き出した



…真田以外、だが


どうやらこの女の子は
真田が迷子だと勘違いし
真田の手を引っ張ったとき、
振り返った顔があまりにも
ふけ顔だったために、
悪気もなく"おじちゃん"
と呼んでしまったようだった


いつになく落ち込んでいる
真田に変わって、柳は
しっかりと自分達は中学生だ
ということを伝えると、
女の子は驚いた表情もせず
何も言わずにただ
ニコッと笑って去っていった


その時同時に皆が思ったことは
"不思議な子"ということだった


そんなことも知らずに
笑い転げていた赤也


その後も真田の変化した空気に
気付かずいつまでも笑っていたために
赤也が幸村の病室に着いても
怒られている……

という話だ


「幸村部長っ!
なんとかしてくださいよ!」


「赤也っ!!
精市に迷惑かけるでない!
たるんどるっ!」



この二人以外のため息が重なる


そしてもう、ほっとこう
と思った幸村は
先ほどの柳の質問に対して
再び話しだした


と、その途端その話の内容に
一瞬にして静かになった病室

R陣全員の視線が集まる


口喧嘩もやっと収束した模様

今は、幸村に皆興味津々



それもそのはず



あの幸村部長に女の影の疑惑なのだ

あの、幸村部長に


皆緊急事態だ!
といった顔で固まっていた




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