命が輝くとき
□ほのぼの日和
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「あゆ、俺だよ。幸村精市
入ってもいいかな?」
軽くノックをしながら声をかけるが
返事も、物音も聞こえなかった
「あゆ?……入るよ?」
悪夢のような想像が脳裏に浮かんで
俺は思い切ってその扉を開けた
でも俺が見たのは
そんな光景じゃなくて
暖かな太陽の光に包まれて
気持ち良さそうに眠っている
あゆの姿だった
「あゆ、来たよ?」
『………………』
呼吸器もたくさんのチューブも今はなくて
一本だけ点滴の管がのびているだけだ
あゆの頭を軽く撫でる
気のせいかもしれないけど
少しだけ、本当に少しだけ
微笑んだように見えた
「あゆ、また来るよ
おやすみ」
起こすのに気が引けた俺は
そういって軽く頬に唇を寄せた後
あゆに置き手紙を残して
その日その場を後にしたのだった
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