ゴミ箱。
□ワニと小鳥
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それから毎日、その小鳥はボクの頭の上に止まって、ボクと話をするようになった。
本当に、まるで、君みたいな小鳥。やさしくて、肉食のボクを全然怖がらない。
ボクはその小鳥が大好きになった。
「小鳥さん小鳥さん、今日はどんな話をしてくれるの?」
「そうね。草原の向こうにある、人間の町の話でもしようかしら」
小鳥はなんでも知っている動物だ。翼をはためかせ、遠く遠くのサバンナの出来事をこうして伝えてくれる、ボクらにとって唯一の情報源。噂好きなのがタマにキズだけど。
君もよく、こうしてボクに色々な話をしてくれたね。
小さなくちばしを一生懸命に動かして、まるで歌うみたいに話してくれた君。そんな君とこの小鳥は、とてもそっくりだ。
毎日ボクの頭の上に止まって体を休めていた君は、とってもかわいくてステキで。
でも日がたつにつれて、なぜかボクは君のステキなところがわからなくなっていった。
歌う声。真っ白な体。小さな翼。何もかもが気に入らない。なぜだろう。ステキなところ、好きなところばかりだったはずなのに。
君の存在が気に入らなくて、ボクは腹を立てた。
そして君を食べてしまったんだ。一番奪ってはいけないものを奪ってしまった。
ものすごく後悔してるよ。冷静になって、よく考えてみたんだ。なぜボクは君を食べてしまったのか。今、やっと気づいたよ。
君のことを思い通りにしたくて、ボクは勝手に腹を立てて君を食べたんだ。
そんなの間違ってる、ばかみたいな話だよね。
「どう?おもしろいでしょう、人間って」
小鳥が話をくぎって、ボクに尋ねてきた。
「そうだね・・・ほんとに、おかしな話だ」
本気で笑って、ボクはつぶやいた。
だからね、いつも頭の上に止まる小鳥を見上げてボクは笑うんだ。君に重ねて、あのときのことを思い出してる。
たくさん話をして。言葉を聞いて。
こんなボクなら生かしてあげれるかな?
頭の上で綺麗な歌声を披露する小鳥を見上げてみる。かわいい声、君の色、全てが大好きだよ。君みたいなこの小鳥が、ボクは大好きだ!
でもね。みにくいボクはもう、食べないよ。沼を渡る動物たち、ヌーやバッファローや象の赤ちゃん、命を食べなきゃボクは生きていけないけれど。もう、君を食べたりなんかしないから。
だから食べないよ。
そう。
もう食べないよ。
ぜったいに、食べないよ。
でも、なぜだろう。
この気持ち。君を見てると、何かがふつふつとわき上がってくる。
どうすれは、このキモチワルイ感じをぬぐい去ることができるのかな。
・・・ああそうだ。簡単じゃないか。
ボクは君が大好きなんだよ、小鳥さん。だからね・・・
「ねぇ、小鳥さん――――――」
「なあに、ワニさ、
ぱくっ。
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song by,木村カエラ『ワニと小鳥』