テニプリ短

□君の隣にいることが
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「幸村って良い名前だよね」

「そうかな?」

「そうだよ、だって…」


君の隣にいることが



とある昼下がり。
俺はマネージャーである名無しと屋上で弁当を食べていた時のこと。

名無しは俺の名前について唐突に話し出した。
良い名前だって。

今の今まで全く関係ない話(可愛い後輩の話…とか)をしていただけに、名無しからの唐突なその話題に思わず笑ってしまった。


「どうしたの急に」

「いや、良い名前だなって」

「なんでそう思うんだい?」


理由を尋ねると名無しは唐揚げを頬張りながら平然と答える。


「だって幸せって入ってるじゃん」


ただ、それだけだけどさ。
なんか良いじゃん、幸せって。

良いなぁ、幸村、
幸せに満ちてるよ。


名無しはそう言って最後の唐揚げを名残惜しそうに口へ運んだ。


「そんなに良いんだ」

「幸せっていう言葉に損はないでしょ」


弁当を食べ終えたのに、まだ何か物足りなさそうな名無しに自分の卵焼きを分けてみる。

お、さすが幸村。ありがとー。となんとも幸せそうな顔をして卵焼きを平らげた。


「名無しは幸せそうだね」

「ん?幸せそうっていうか幸せなんだよ」


幸村が隣りにいるから幸せ分けてもらってるのかな。
とか言うもんだから、なんだかちょっとばかり嬉しくなって。
それと同時にちょっとおかしくも思えた。


「名前に幸せって入ってるだけで俺自身が幸せかどうかはわからないよ?」


ちょっと意地悪っぽく言ってみるけど、至極当たり前なように君は。


「私がこんなにも幸せなんだから隣りにいる幸村も幸せなはずだよ」


なんて君が言うから。


「…そうだね、俺も幸せ…かな」


そう思えてきた。

俺自身、本当に幸せかなんて聞かれたら正直返答に困るんだけど。


「でしょー」


満足そうに笑う名無しは本当に幸せそうで。

むしろ俺が名無しから幸せを分けてもらってるんだよ。だから思うんだ。自分が幸せだと。

言おうと思ったけど、やめた。


「俺も…幸せだよ」


何て言ったって、幸せな君が隣りにいるから。





昼下がりの屋上で
(幸せを分かち合うこの時、)
(あぁ、幸せだ)





*
昔書いたやつ引っ張り出してきた。
白幸村大好き。


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