イナズマ小説

□ローズは色褪せない
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バダップ王子が主催を勤める
盛大なパーティーに呼ばれた青年、エスカ・バメル/通称エスカバ。


エスカバは これまでパーティーなんて数えきれない程参加したが、
こんなに豪華なのははじめてだった。




「ようこそ、エスカバ。どうだ?俺のパーティーは」

「バダップ王子… 素晴らしいパーティーです。お招き頂きありがとうございます」

「礼には及ばない、ゆっくりしていけ。」





大人の香り漂う、パーティー会場。

皆、それぞれパートナーを見つけ、
ダンスフロアで踊りを披露している。


輝くシャンデリアは
きらびやかで、溢れんばかりの存在感を示している。


しかし

そんなシャンデリアも手も足もでない程の
存在感と美しさを放つ女性が現れる。


彼女は ダンスフロアの隅のカーテンをかいくぐって登場した。



黒く、さらさらとした、1度触ってみたいような黒髪を綺麗に結いあわせている。
自由に飛び跳ねるかのように サイドに髪をくくっていて、残った髪は 丁寧に密編みにしてある。

ドレスは 髪と同じ黒色がベースで 綺麗で真っ白な雪のような肌を露出させ、黒が映える。

ふくよかな胸を優しく包むような黒の下に 深紅のドレスが二重に着こなされている。



コツン、 コツン。

ハイヒールは弾むような音色を奏で 彼女はゆっくりと
ダンスフロアの中心に歩みはじめる。






今まで、好みの女性がいないのか、つまらなさそうに椅子に座っていたバダップ王子は
急に眼の色を変え、椅子から立ち上がる。
椅子が カタンと音をたてた


バダップ王子は小走りかつ、堂々と女性に近づく。



「こんばんは。貴女のような素敵な女性に出会えるなんて俺はついているな」


なんて キザな言葉を繰り出したバダップ王子。

エスカバは 女性に釘付けになっていたままで
ダンスの誘いをするか否かで考えていた。

だが――――――…



「名前はなんという?」



女性はゆっくりと口を開き、言葉を発する。

「……ミストレーネ・カルスでございます、バダップ王子。」



大人っぽい見た目にはギャップのある、少女のような声をしていた。







「ミストレ…か、いい名前だな。よかったら俺と踊らないか?」


エスカバは 薄々予感していた。
バダップ王子がミストレを誘うんじゃないかと――……

先を越されるんじゃないか、と










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