イナズマ小説

□愛情表現
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パァァンッ


狭い部屋に、乾いた音が痛々しく響く。
音が鳴った理由、それは、フィディオがマークの頬をおもいっきり叩いたからだ。


「ねぇ、痛い?今の痛い?痛いよね?」

「いた、い」

痛いか否かを問うフィディオに痛いと答えるマーク。
痛いのは当たり前だろう、マークの頬は可哀想なほど赤く腫れていた。


「そっかそっか、痛いか…… よかったぁ!俺の愛、ちゃんと伝わってるね!」

ニッコリ笑うフィディオ。
どうやら、自分の愛情を痛覚を通して伝えたいらしい。


「あぁ……。フィディオの愛、痛い、伝わる。」

そう、返事を返すマーク。
そっか、そう言うか言わないかくらいにフィディオはマークの腹を蹴りつける。
それは1回では済まされず、何回も何回も。


「がはっ、あ゙ぁっ!!」

オルフェウスの白い流星と呼ばれるフィディオのFWとしてのキック力は、凄まじいものだった。
腹の中で臓器は破裂し骨は砕ける様な、そんな感じがした。


「もっともっともっと……痛みを感じなよ!!」

ついには頭を踏みつけたフィディオ。
エスカレートしたこの行動は、愛情表現とは言い難い様に見えた。
しかし、フィディオ本人にとってこの行動は紛れもない愛情表現であって、マークの事はちゃんと愛しているのだ。

それは、マークも理解していた。
そしてこの行動を受け入れていた。


「ぅ…ぐふっ……!」

マークの口から顎にかけて、血が伝った。
体中はアザだらけで見ていられない様な状態だった。


だが、マークは痛みよりも喜びの方が大きかった。
どんな形であれ、フィディオは自分を愛してくれている、その事実が嬉しかった。
フィディオからの暴力は、最大級の愛情表現と解釈していた。

ならば、それを受け入れるのが、痛みを感じるのが、此方からできる、最大級の愛情表現なのではないか。
そう、マークは考えた。


と、同時に、ぬるっとした生暖かい赤い液体がマークの頭を伝う。


「あ、でもコレ、流石にヤバイよめちゃめちゃ痛いよフィディオ……」

「大丈夫、愛されてる証拠だよマーク?」






(キスやセックスなんかじゃ足りない、もっと過激な愛情表現を君に、)
こうして少年達はお互いを愛し合う



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