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□心配
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嫌な予感がした。
セキチクシティあたりにいると、偶然にもトウコがいた。
「トウコ、」
持ち前の爽やかスマイルで華麗に挨拶。
「え、N…?」
僕の方に振り向いたトウコをみて、ギョッとした。
顔は土色、冷や汗かいていて、足取りがフラッフラだった。
気分が悪いのはあきらかだ。
「えへへー、ハチクさんに勝ってバッジ貰ったんだよ私!」
いやいやそんなことどうでもいい、それより君、どうしたんだよ。
それに、なんでだろう。嫌な予感がして仕方ない。
「バッジGETしたんだ、凄いねトウコ。……あのさ、顔色悪いようだけど何かあったの?」
本気でトウコが心配な僕に、トウコはへらへら笑って「平気平気」とうながす。
平気じゃないよ、ほら、どんどん顔色が悪く………
「敵の心配だなんて、随分と余裕なんだね。」
なんて言うトウコの目は、余裕が無いように見えた。
その瞬間、トウコの目は完全に閉ざされて、体ごと僕の胸にダイブしてきた。トウコは気を失ってる。…嫌な予感的中。
気絶したトウコを受け止めた僕は、妙に冷静で…………… 思えば、トウコに会った瞬間、病院に無理矢理でも連れて行くべきだな。
なんて、今さら思っても遅いんだけど。
そっからは 軽い軽い君をおぶって病院に直行。
君がベッドに横にされる、僕はただその光景を見つめていた。
「トウコは……敵だ。」
二人きりになった病室で、確かめるかのように独り言を呟く。勿論、僕の独り言を聞いてくれる人はだれもいない。
「僕の…… 僕達プラズマ団を邪魔する、危険な存在。」
けど、なんでだろう。
「トウコが心配で仕方がないんだ。」
よく分からない感情に胸を締め付けられた。
…多分、次にトウコ会うのは 僕達が戦う時だろう。
こんな再開、したくないけど。できれば和解したいんだけど。でも、
「我が儘言ってらんないからね。」
トウコのおでこにキスを落とし、そのまま病院を後にした。
(( 敵とか関係ない。心配なんだ、仕方がないだろ? ))
-end-