あげもの・過去拍手・お礼文

□雨宿り
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「最悪だ。」

1人、そう ポツリと呟いた。

しかし、俺のか細い呟きは
ザーッ という雨の音に見事にかきけされた。




あるサッカーの本が欲しくて、本屋に行った。
今は その帰りである。

行きは とても晴れていた。
なのに、帰る途中にいきなり雨が降ってきた。

…傘なんて勿論持っていない


だから、仕方がなく
とあるレストランの屋根で雨宿りしている訳だが。

残念ながら、本に金を費やしていて レストランで何か食べる なんていう選択肢はないのだ。




「……早くやまねぇかな…」

早く帰って、バダップらと一緒に本を読みたい。

雨の中 ダッシュで帰ろうと思ったが、肝心な本が濡れては大変だ。

しかし、雨はなかなか止まない。



「濡れるのを承知で帰ろうか…」

そう思った時、





「何してるの?」





目の前に 見知らぬ…女?

顔は少女のようで、華奢な体つき。髪型はみつあみ。

しかし ……胸がない。
…こんな事考えるなんて失礼か。



「ねぇ、聞いてる?何してるのって」


「…雨宿りだ。」


「あ、そう …名前は?なんていうの?」


「…エスカバ。お前の名前は?というか、そっちこそこんな所で何やってるんだ?"お嬢さん"」


冷やかしのつもりで"お嬢さん"なんて言ってみた。



「…は?何言ってんの?」


その"お嬢さん"の返事は あまりにも予想外で。







「俺、男なんだけど。」





一瞬、耳を疑った。


少したつと、やっと頭で理解できた。



「成る程、コレが世に聞く"男の娘"か……」


「……なんだよ、何か悪いか」


「…いや、別に。」





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