廻った先には
□第三章
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谷村と別れて、暫く優美は神室町を色々見て廻ってみたがなかなか良い所が見つからない。
「まずいなぁ…このままだとホームレスのおじ様にお世話になってしまう…;;」
深い溜め息をついて道の端にしゃがみ込む。
辺りはもう薄暗くなり、ネオンが目立ちはじめている。
そんな中ぼんやりと考えていると、ふと思い出した。
「…そういえばスカイファイナンスって店が金利とか無しで金貸ししてるって聞いたな…」
?「…うちの店が、どうかしましたか?」
「え?」
優美が声のした方を見ると無精髭の生えた赤いジャケットの男が立っていた。
「あの…貴方は…?」
秋「おっと失礼。私、スカイファイナンスの社長をしている秋山駿といいます。…うちの店の名前が聞こえたものでつい」
「あ、すみません。私は高見優美と申します」
秋「高見さん…。もしかしてお金にお困りですか?」
「まぁ、困ってるといえば困ってる、かな? 今の所持金893円ですし。あ、あと苗字で呼ぶのと敬語使うの止めてくれませんか?堅苦しいのあまり好きじゃないんで」
秋「そうなの? じゃあ普通に話すよ」
「はい、ありがとうございます♪」
秋「それはそうと、その身なりを見たところ訳ありみたいだねぇ…。どう?話くらいなら聞くよ?」
秋山は優美の着ている血の付いた服を見て言った。
「…そうですね…じゃあ相談、してもいいですか?」
秋「もちろん。じゃあ行こうか」
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