Drama

□おばけ屋敷
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『よろしくね山田くん』


山田「おう、よろしく」




桜先生・仙波さんペアがトップバッターとなり
次々とみんなが入っていきついに私たちの番になった




山田「よし!行こうぜ苗字」


『うん・・・』


山田「どうした?」


『いや、なんでもないよ』




嘘です
めちゃくちゃ強がってます
ものすごく怖いです




山田「うわー、気味わりぃな」


『・・・・・・』


山田「苗字?」



これは、もうダメだ
このままだと進める自信がない

私は嫌がられるかと思い黙っていたお願いをすることにした



『あの、山田くん』


山田「ん、なに?」


『その、非常に、言いづらいんですけど』


山田「うん」


『その、服の、袖をさ、掴んでてもいい?』


山田「・・・はっ?」


『やっぱり嫌だよね、ごめんね』


山田「いや、俺は別にかまわねーよ」


『本当?!ありがとう!』


山田「おう」



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山田「お前怖がりなんだな」


『お恥ずかしながら』



私は山田くんの服の袖を掴みそろりそろりと進んでいった



山田「なんもでねーな」


『いや油断大敵だよ』




ガサガサ

「ああああああああ助けてーー!!!!!」




『きゃあああああ!!!』
山田「うわあああああ!!!」



突然現れたおばけに驚いてしまい
思わずお互い相手に抱き着いてしまった



山田「なんだよ出てくるならそう言えよ!!驚いちゃうだろうが!!」


『いやそれ言っちゃったら意味ないじゃん』


山田「ああ、それもそうか」


『・・・・』


山田「おい」


『なに?』


山田「いつまでこうしてるんだ?」


『あっ!ご、ごめん!ごめんね!』



慌てて山田くんから離れたけれど、もう少しああしていたかったと思ってしまっている自分がいた


きっと私の顔真っ赤なんだろうな
暗くてよかった



山田「あのさ」


『ごめん!嫌だったよね!本当ごめんね!』


山田「は?ちげーよ」


『えっ?』



てっきり文句言われるもんだと思ってたのに

ふと、手にぬくもりを感じた


山田くんに手を握られているということに気付くまで
そんなに時間はかからなかった



『山田くん・・・?』


山田「こっちの方がいいんじゃねーの?」


『・・・良いの?』


山田くんは少し笑うとコクリと頷いた




それからまた突然現れるおばけに
2人でわーきゃー言っていたが

山田くんが繋いだ手を離すことはなかった

妙に落ち着く山田くんの手は
私の恐怖心を和らげてくれた



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山田「っはぁ・・・やっと出口だ」


『疲れたね』


山田「大丈夫か?」


『うん・・・疲れたけど、山田くんが手をつないでくれてたから怖くなかったよ』


山田「苗字・・・」



『ありがとう、山田くん』




そう言い山田くんに向かって笑うと
なんだか顔が赤くなった気がした
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