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□君に一歩近づいた
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今日も学校が憂鬱だ。まず、電車はほぼ満員でぎゅうぎゅうだし、授業つまんないし、先生うるさいし…。とにかく憂鬱なことばかり。
でも…、この憂鬱が晴れるときがある。
それは…


『今日もいた…!』


電車に乗り、の端っこを見てみると…。今日もいた。あの人が。髪の毛は茶色で全て右側に流れていて、顔にペイントがされている男子。


『いつ見ても格好いいんだよねぇ』


私は名前も知らない男子に一目惚れをしてしまった。本当に名前を知らない。でも知っているのは彼が帝国学園だということぐらい。
彼の名前を知りたくて、声を掛けようと思ったこともあるけど、このぎゅうぎゅうの中を歩いて彼の所まで行くのは大変だ。
…声をかけなくても、このぎゅうぎゅうの電車の中で彼を見れるならそれでいい。今日も隙間から見えるよ!!


『(それにしても…人多すぎでしょ…)』


息苦しすぎる。

そんな電車内での愚痴を心の中でぐだぐだ言っていると、太腿に違和感を感じた。

…気のせいか?

そう思ったけど、また感じた。
まままっ、まさか痴漢!?
今度は太腿からお尻まで撫でるようにして触られる。


『(っっ…!!こ…こわい…!誰か…助けてっ)』


大声を出して『この人痴漢です!!』って言えばいい話なんだけど、完全に恐怖におそわれなかなか声がでない。
後ろをチラリと見ればおじさんの口元がにやけていた。


『(きもちわるいっ…きもちわるいっ)』


私は誰かに助けを求めようと思ったけど、背が低いため埋もれてしまっている。
もしかしたら助けてくれるなんて期待を胸に向こう側にいる彼を見てみると…。


『(いないしぃぃー!!!!)』


あー…もう次の駅まで我慢…。だけど痴漢行為はどんどんエスカレートしていく。きもちわるい…っ。
だめだもう泣けてきた…嫁に行けない…。
そう思ったときに、急に私の太腿にあった手がなくなった。後ろを振り向くと


「いたっ…!!何をするんだ君は…!!」

『!?』

「アンタそこの女子中学生に痴漢してただろ」
「な…なにを言っているんだね?」

「俺は見ていました。言い逃れはできませんよ。なにより彼女が怯えているではないですか。二人ともつぎの駅で降りてください」

『……………』


後ろで私に痴漢をしていたであろうおじさんの手首を掴んでいたのは、いつも見ていたあのペイントの彼だった。


『あ…有り難う御座います』

「ああ。気をつけるんだぞ」

『はい…』


初めて聞いた彼の声は低くてかっこよかった。

私と彼と痴漢は次の駅で降りて、駅員さんに痴漢を差し出してきた。


『あ…あのっ、今日は本当にありがとうございました。…気づいてくれてありがとうございます。』

「…見ていたからな」

『…はい?何を?』

「お前をだ。名前はなんて言うんだ?」

『みよじなまえ…です』

『俺は源田幸次郎だ。よろしくな』

『…はいっ』


まさかの名前を知ってしまった。
源田幸次郎君かあ…かっこいい名前。


『…あーっ!!!!学校!』


すごく忘れていた。


「すでに授業が始まっている授業だな…」

『怒られちゃうから、早く行きますね!!』
「あぁ分かった。…また会えるといいな。」
『え?』

「いやなんでもない。じゃぁな」

『…じゃぁね!』


彼の名前を知れた。彼と話せた。あ…。彼じゃなくて幸次郎君だね。
今日から学校に行くのは憂鬱にはならないなあ…




源田幸次郎君って言うんだね

(あ、幸次郎君ー!!)
(ああ、なまえか)


無駄にながい短編だった

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