いただきもの小説

□風邪引きりんご
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風邪引きりんご

ねこからす様へ捧げます!!
全力で土下座しまぁぁぁorz


…大変遅れて申し訳ございません(´・ω・`)



南涼です
なんかナチュラルに同棲しています←

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朦朧としている頭の隅で、なにやら風介が怒鳴っている。

「君は本当に馬鹿か!?」

「…へいへい馬鹿ですよー」


…南雲晴矢。14歳。

今年は厄年。


正月早々、熱を出した大馬鹿者です。


「どっから菌を貰ってきたんだこの馬鹿は」


せっせとりんごを向く風介の後方で、ストーブの赤い炎がちらつく。


「俺が聞きてぇよ」


今日は初詣に行く予定だったのに。菌のせいで台無しだ。



「…つーかさ、馬鹿は風邪引かないんだから、俺馬鹿じゃないよな」

「知ってるか??阿呆は熱出すんだ」


…知りませんでした。


阿呆だの馬鹿だの言いながらも、一生懸命看病してくれる風介。

これはこれで幸せなんだけどなぁ。


言ったら幸せが逃げそうだから言わないけど。



思わず緩んだ口元に、2分の1の大きさになってしまったりんごを放り込んだ。


「…うまいか??」


風介が、分厚い皮を片付けながら、幼い少女のように聞いてきた。


「まぁ、りんごだな」


俺の素っ気ない反応を見て、ぷくっと頬を膨らませる。


…いや、だってりんごだし。




風介は機嫌を悪くしてしまったのか、俺と目を合わせない。

いつもならこういうときに何を言うべきか考えるのに、今は頭が働かなかった。


なんか頭痛が増した気がする。

心なしか胃もムカムカするし…



いつにもなく怠い俺は、ゲホッと軽く咳き込み、態勢を変えて目を閉じた。


ごめん風介…俺、駄目みたいだ…



ぼんやりと考え込んでいたら、いつの間にか寝てしまったらしい。





しばらくして、なんとなく額が冷たいことに気づいた。

「ん…」


薄く目を開くと、タオルを持って固まっている…風介??


「う、うわぁあ!!」


「ぶっ!!」


俺と目が合った途端、なにかをいきなり押し付けてきた。


…な。


「あ、」


顔にべったりとついたのは、風介の持っていた濡れタオル。


…俺、仮にも病人なんだけどなぁ。



「ご、ごめん…」


タオルが取り払われると、すぐ目に入ったのはシュンとした風介だった…


肩を落としてすまなそうに俺を見てくる。


「いや、平気」


…なんだこいつ、かわいい。

なんか、風介がいつにもなくデレている気がする。




…あぁそっか。俺仮にも病人なんだ。


またしても緩んでしまった口元を、布団にうずめて隠した。



「あの、晴矢…」


「んー??」



そんな俺の様子を気にすることなく、何かを言いかけた風介。


少し冴えてきた頭は、その潮らしい態度に余計なことを考えはじめた。



「…今日だけ、」


小さく、蚊の鳴くような声で、風介は言った。


「今日だけ、言うこと聞いてやっても…いい、わけじゃなくないけど」


……は??


「…わりぃ、もう一回言ってくれ」


なくない??どっちだよ。


困惑した俺の顔を見て、風介はカーッと赤くなる。


「だから!!言うこと聞いてやるって言ったんだ!!」


真っ赤なまま、そう叫ばれた。


…これは現実か。



「…どういう風の吹き回しだ」

「君が辛そう。ただそれだけだ」


君には、色々と恩があるし…その……なんて、もごもごと呟いている。


やっぱ現実か。


あぁ、可愛い。


「サンキュー風介。愛してるよ」


「はぁ!?」


…おい、何を口走ってんだ俺。


本能のまま呟かれた一言に、風介は再び赤面する。


よく赤くなるなぁ。りんごみたいだ。


…ってそうじゃない。


「あの、風介…」


「な、なんだ」



言うこと聞いてやる、って、なんでも有効だよな。


「その…さ」



…あー。


いざ言うとなると、すっげぇ恥ずかしい。


黙ってしまった俺を、風介が不思議そうに眺めてくる。


…折角のチャンスなんだし。言っちゃうか。




「俺の…手、握っててくれない??」


「…え、」


くそ。恥ずかしい。


一気に熱くなった顔は、もちろん風邪のせいではない。

でも、言葉で説明したくないから、風邪のせいにしておく。



「…なんだ、そんなことでいいのか」


風介の反応は、思っていたそれと違った。


「…え??」


「いや、もっと変なこと要求してくるかと…」


そう言いながら、照れたように前髪を引っ掻く。


…おいおい。


「なんだそれ、マゾ発言か??」


「ああそうか。殺されたいのか」



う、やべ。



思わずいつもの調子で逆鱗に触れてしまった。

口を尖らせた風介は、布団からはみ出た俺の手首をぐっと掴んで握る。


そしてそのまま、優しく包み込むようにして…


「…これでいいのか」


「お、おぅ」



俺の手を握ってくれた。






風介と手をつないだのは幼少期以来で…なんだかとても懐かしかった。


もう一度、あの頃に戻らせてくれた風邪に、ちょっとだけ感謝する。











END
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うわああああ……
なんか謝ることが多すぎて…(´;ω;`)

どうもすみませんでした

相互ありがとうございました!!

これからもよろしくお願いします^^


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