北の長い旅

□こたつとなべと2
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「・・・の?」

「え?」

「だからっ!食べないのか?」

椀を抱えたままじっと動かなくなったレイにケンシロウが不思議そうな顔をする。
冷めるぞ、と言いながらがつがつ食べるケンシロウ。
レイも流されるまま箸をつけた。






「ごちそうさまでした」
丁寧に手を合わせ挨拶をしたケンシロウはそそくさと後片付けをし始めた。
レイも慌ててケンシロウのいる流し台に空いた食器を持って行った。


「何だ?熱でもあるの?」
レイの気配を感じ背中越しにケンシロウが喋る。
「・・・ない・・・けど?」

何だ?熱?

「いつもはこんな事しないだろ」
「いつも・・・?」
くるっと振り返ったケンシロウがレイの運んだ食器を受け取る。
「本当に今日はどうしたんだ?今まで片付けの手伝いなんかした事ないのに・・・」
くすくすとケンシロウが笑う。
「・・・」





‘この世界’の‘俺’は俺とは違うのか?



聞いてみないと


ここがどこなのか


俺は‘俺’なのか


「ケン、あのさ・・・」
キュっと蛇口の閉まる音がして再びケンシロウが振り向いた。

「変なレイ」
機嫌の良い口調でケンシロウが先に喋り出す。
「お風呂、沸いてるぞ」
「あ、ああ」
「一緒に入るぞ」


「ん、、、んん・・ああ」










・・・・あ?







風呂?
一緒に?
ケンシロウと?









俺の思考はまた停止した。
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