02/06の日記

00:36
鐘(捏造小咄)
---------------
日はとっくに落ちて、フキヨセを一望出来なかったが、ヒトモシ達の淡い紫色の炎で辺りは幻想的に輝いている。


「此処はボクが城の外で初めて来た場所なんだ」
タワーオブヘブンの頂上、癒しの鐘の目の前で隣にいるNが独り言のように言った。
「此処で眠るポケモン達は人によって殺されて人を憎んでる…って、教えられたんだ」
隣にいる少女はNが話しているのを静かに聞いている。

「死んでしまったポケモン達の声は聴くことが出来ない、あの時は『助けて』って言っていると思っていたんだ……でも、違っていた」
「…」
「……弔いに来ている人は…とても、優しそうだったんだ」
消え入りそうな声で言った。
その様子を見つめていた少女はふわりと微笑んだ。
「そう、感じれた方が幸せなのよ」
「え…?」
驚いたように少女の方に顔を向けた。
海色の瞳は涙で潤んでいる。
「Nは人間だもの」
少女は諭すように優しく、しかし力強く言い切った。
「苦しむのが、人間よ。Nはバケモノなんかじゃない、誰よりも優しい人間よ」

Nは目を軽く見開いて少女を見つめた。
そして直ぐに、ふにゃりと顔を緩めて笑った。
「…ありがとう」

それに満足したのか、少女は笑いながら手を差し出す。
少し躊躇ってNはその手をとり、その後2人で鐘を鳴らした。

…―鐘は澄み渡った音をしていた





読んでいただきありがとうございました!!
何となく主♀の名前を出さないようにしたらどうなるかなーって思った結果です。

勿論、Nさんが言ったことは100%捏造です。

前へ|次へ

コメントを書く
日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ