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□FOR YOU!2011
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「出来た…けど喜んでくれるかな、サスケ君…」
手の中のマフィンを見つめる。出来は上々のはず。
サスケ君は甘いのがダメだから、ビターチョコを少し使ったくらいのマフィンなら大丈夫だと思って作ってみたけど…考えたら、そもそも受け取ってくれるかが怪しい。
可能性は限りなく0%…あー、言ってて悲しくなってきた。
とりあえずナルトとカカシ先生は受け取ってくれるだろうから、先にサスケ君の所に行こう。最後にショック受けたくないし…。
私は三人分のマフィンを持って家を飛び出した。
* ** *** **** ***** **** *** ** *
「……いざ来ると緊張するなぁ…」
ここにサスケ君がいる。
それだけで心臓がバクバク言ってるのがわかる。
…いのみたいに思いきりいけちゃう度胸が欲しい…。
「…ええい、迷ってても時間が無駄になるだけよ!」
コンコンッ
「ごめん下さーい!サクラです!あ、春野の!サスケ君いますかー?」
………
「あれ。いない?」
緊張して損した…。
そっか、サスケ君のことだから一生懸命修業してるのかも…いやもしかしたらバレンタインデーが面倒でどこかに避難してるのかも!って、じゃあ私も迷惑ってことに…!!
うう、でも渡したい。けど迷惑にはなりたくない。
「どうすればいいんだろう…」
うーん、うーんと私が悩んでいたら。
「サクラか。…何か俺に用か」
「はい!?」
突然声がした。
…心の再準備出来てないんですが!
「えっあっあの…!」
「?」
「これを、渡そうと思って…」
マフィンの包みを差し出す。
あああ、眉ひそめてるし!!
「…やっぱ、要らないよね」
「その残りの二つは…」
「あ、これ?ナルトとカカシ先生の分だけど」
正直サスケ君の質問の意図がわからない。
受け取る気もないものをなんで気にするんだろう?
「あ…じゃあ、いきなりごめんね!時間取らせちゃって。二人の所行っ「―――待て」
ぐっと腕を掴まれる。男の子の手だなぁ、なんてどうでもいいことを考えた。
「もらってやる」
「え…」
もしもし神様、私の耳が壊れた訳じゃないのよね?信じていいの?
「くれんだろ?」
つん、とそっぽを向いて。
さっきまで眉ひそめてたくせにずるい。
たったの一言で私を突き落としたり、昇天させたり……ホントにずるい。けど、
「私ので、良ければ」
―――大好き。