「どうして私が白野君と一緒に行動しなきゃならないわけ?」
不機嫌な顔で尋ねてくる。
「そう怖い顔しない。せっかくの美人が台無しだよ?
それにもう決まっちゃったんだから。諦めなよ」
「答えになってないわよ」
さらに不機嫌な顔になる雪乃。
からかいがいがあるといえばあるが、行き過ぎるとあとで痛い目にあいそうだ。
「んー、その辺は神狩屋さんにでも聞いて欲しいかな。私に伝えてっていったのは彼だし。
妥当な判断だとは思うけどね?」
「どこが妥当なのよ。
そこをちゃんと説明してちょうだい」
「万が一の話だけどね。ばったりと<泡禍>に巻き込まれたとするよ?
雪乃は燃やせるものしか対応できないでしょう。
そのための彼ってわけ。
さらに言えば、彼と行動していたほうが巻き込まれやすいでしょう。
あなたの望む通りじゃない」
「・・・・・・」
疑い深い視線が飛んでくるが、気にしない気にしない。
多少とってつけたような理由っぽいけど、一応的を射ているから大丈夫なはず。
そこにタイミングがいいのか悪いのか、話題の本人である蒼衣が現れた。
「あら、噂をすればなんとやら。ほらほら相方が来ましたよ、雪乃?」
「? どうしたんですか、刹那さん」
「いやいや、今日も雪乃はかわいいなって」
「いい加減にしなさい、殺すわよ!」
「雪乃さん、落ち着いて」
いまいち事情を把握できていないが、蒼衣は律儀に雪乃をとめようとする。
それがさらに雪乃を怒らせるとも知らずに。
「あなたは黙ってなさい!」
「こらこら雪乃。理不尽に白野君に怒りを当てちゃだめだよ」
「その元凶を作ったのはどこの誰かしら?」
「さあ」
空とぼけてみせる。
相変わらずの日常。つい、ずっと続いて欲しいと思ってしまう。