長い旅路

□たまに晴れて、たまに降って。
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「今日は雨、か。」
カカシが気の抜けた声で呟く。
窓の外はいつの間にか大雨となっていた。
(どうしてこんなときに降るんだか・・・。)
もっと、もっと。もっと前に降れば良かったのに―――・・・。
雨の中なら気づかれずに泣けただろうか。
あのときの俺も、今の俺も。
なのに。
紛れて項垂れる俺を‘天’はどうも気に食わないようで、堪えたくもないのに晴天快晴。
俺が渇きを覚えたころに空が泣く。
黒い黒い曇り空。
「カカシ。」
「!四代目・・・。」
「『先生』でいいよカカシ。」
腰を低くして視線を合わせる。
「先生、今日は仕事ないんですか?」
「ん!なんとかね。それでさ、リンとオビトとお茶しようかと思うんだけどどうだい?皆そろうのは久しぶりだからね。」
「確かに最近は四人そろうなんてなかったですね。でも俺遠慮しときます。」
「え、来てくれないのかい?二人共楽しみにしてたのになぁ。」
四代目の表情はいつも豊か・穏やかである。
「お茶とかあまり好きじゃないんです。」
部屋を去ろうとするカカシの前にズイと立ちはだかる。
「カカシも仕事はないんだろう?息抜きも必要さ。」
カカシがおし負け、ため息をつく。
「・・・分かりました。行きます。」
「ん!じゃ行こうか。」
雨の日にお茶、俺はよっぽど嫌われてんだな・・・と胸の中で呟いた。
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