けいおん?〜今の自分にできること〜
□揺れる心のムスタング
4ページ/31ページ
中に入ると既に多数の観客が来ており、
ヴィジュアルを意識したようないかにもなバンド通らしき客もいれば、
空気に馴染めず全くのライブ未経験者のような客もいた。
ただ、
馴染みのないのは利吉も同じで、
周囲の人物以上にかつて感じたことのない独特の雰囲気に目を見開いていた。
友久「な〜に突っ立ってんだよ。いくぞ?」
利吉「あ、あぁ。」
慣れた足取りで受け付けへ行く友久に、
子どものように利吉は後ろへついて行った。
受付「は〜い、学生さん二名様ですか?」
友久「はい、そうです。」
受付「はい、じゃ学生証見せてくださいね。」
友久「はい。……え〜っと、よし。ほれ、ギリちゃんも。」
利吉「あぁ。」
受付「はい、じゃあ一人二千円ですね。それとこちらドリンクの引換券なんで好きな飲み物一本もってってくださ〜い。」
友久「ども〜。」
この一連のやりとりを利吉は頭の中のメモ用紙に書き記した。
利吉「…まずは人数確認……身分確認……身分証明……」
友久「なにブツブツ言ってんの?ドリンク貰ってサッサと行こうぜ?」
利吉「了解した。サッサと行こう。」
二人はドリンクを受け取り、
会場へと向かった。