けいおん?〜今の自分にできること〜
□長かった一日
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嵐山一味を一蹴した利吉は、
腰が抜けたままになっている澪に手を差し伸べた。
利吉「立てるか?」
澪「う、うん。」
少し恥ずかしそうにためらったが澪は利吉の手をとった。
利吉の手はベースの弦で硬質化した澪の指より硬く、
お世辞にも触り心地は良くなかった。
しかし
澪(大きい手……温かい。)
温もりがあった。
その温もりに勇気を貰ったのか、
抜けていた腰も元気を取り戻した。
澪を立ち上がらせると、
利吉は嵐山を見た。
利吉「おい、嵐山。」
嵐山「はい!……何でしょう?」
利吉「これで二度目。三度目はない。覚えておけ。」
利吉は眼光鋭く嵐山を睨みつけた。
嵐山「ヒッ!?あわわわわ…………ブクブク」
当然嵐山がその迫力に堪えられる訳もなく、
泡を吹いて失神した。
利吉「さぁ、残業も終わった。出ようか。」
澪「うん。(けいおん部はこんな奴を敵に回しかけたのか……)」
澪は改めて利吉の恐ろしさ(面倒さ)を実感し、
廃倉庫を後にした。