クロックタワー3〜W Story〜
□プロローグ
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「アリッサ…アリッサ…」
ここは西洋のある国にある屋敷。
その一室から女の名前を繰り返す声があった。
「アリッサ…アリッサ…」
男の声。
黒いハットと黒いロングコート。
そのややふくよかで小ぶりな背丈から、
西洋の老紳士らしさが出ている。
その声は静かで不気味さが漂うものだったが、
じんわりと喜びが滲み出ていた。
老紳士
「アリッサ…愛しのアリッサ…。もうすぐ…もうすぐ私と一つに…!」
ガンガン!!
老紳士
「むぅ……?」
老紳士は音の鳴る方…
玄関の扉へ目をやった。
「すいませーん!誰かいませんかぁ!!」
ガンガン!!
老紳士
「ちっ…!」
その不躾に扉をたたく音は、
老紳士の表情を少しずつ歪ませていった。
だが……
老紳士
「まあいい。せっかくの客人だ。今日はアリッサと私の新たな生の始まりを記念する日だ。たっぷりと持てなそうではないか。」
老紳士はすぐに元の不気味な笑顔に戻り、
両手をゆっくりと上げていった。
ガチャ!
………バタン!
玄関からは扉を開ける音がした。
そして……
老紳士
「………死ぬほど、な。」
その顔は再び歪んでいた。