書いたもの

□このしたたる血の味がなんとも
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今宵、パピヴィクのカップルは、大人の階段を登らんとしていた。
早い話が初ギシアンとなる予定だったのだ。
「ほ、本当に、するの?」
ヴィクトリアは不安そうだ。
「シたくないなら俺は止めにしたってかまわん。」
「別にイヤな訳じゃないけど…」
「ならば四の五言わずに服を脱げ。」
しかしヴィクトリアはまだ恥ずかしさが強いようで脱ごうとはしない。
「チッ」と舌打ちをしてパピヨンがヴィクトリアにキスをした。
ヴィクトリアはキスに弱い傾向が強いのだ。
唇と唇の間からヴィクトリアの口内に舌を入れる。
パピヨンが舌を絡ませると、ヴィクトリアが声にならない声をあげた。
「んっ、んん…」
お互いを貧りあうような濃い接吻。
パピヨンの舌がヴィクトリアの歯列をなぞる。その舌が、急に止まった。
血の味。
一つ小さな歯があり、それがぐらついていた。
「貴様…まさか百余年生きてまだ…」
「そ、そうよ。悪かったわね!」
乳歯、だった。
その夜、パピヨンがヴィクトリアの血の味にはまってしまい、結局三時間以上キスをしたままだったとか。
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