日和

□制裁
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「大王、今日の予定ですが
 いつも通り死者の審判と
 …制裁…だそうです。
 初めてききますね…」

「あぁ…そっか最近無かったもんね。
 鬼男君来てから初めてか〜。」

「何ですか?制裁って」

閻魔の顔つきが変わる。
とてつもなく嫌そうな顔だ。

「…ん〜…秘密!」

「はぁ!?秘書なんですから
 教えてくださいよ!
 手伝えないじゃないですか!」

「今日はいいよ…俺1人でだいじょーぶ」
鬼男はムスッとした顔で
書類の整理を始めた。




「じゃあ、ちょっと地獄行ってくるわー」
審判も終わり、閻魔がダルそうに言った。
「僕も行きます!」

「…来ても何にも良いことないよ?」

「秘書ですからね!付いてくのは当然!」
「そっか、しゃあない!
 はぐれないようにね」

そう言って2人は地獄へ下りていった。




地獄。
人々の呻き声と血の臭いが
気持ち悪い。

深くまで行ったことはないが
何度来ても慣れないな…

鬼男は小さな不安を感じ
大王を見た。
顔は暗くて見えない。

2人は地獄の深く深くへ進んで行く。

終始無言だった閻魔が口を開く。

「そこにいてね…」

消えそうな声でそう言った
閻魔の顔を見て鬼男は小さく震えた。

鬼…?いや悪魔?
まんべんの笑みに狂気に満ちた目。

閻魔は何万もの囚人達を見下ろした。
囚人達はそれに気づき悲鳴をあげて逃げ出す。

「ククク…あははははハハハハハぁっ!」
閻魔は笑い出す。

「馬鹿な奴ら…なんて醜い
 …死ぬまで殺してあげる」

そう言うと閻魔は術を唱えた。
何万もの囚人は一気に地獄の業火に
包まれた。

呻き声は大きくなり
人の焼ける臭いが鼻を突く。

「ははっ!苦しいか?
 でも…まだ死なないよね」

閻魔は術を次から次へ唱えていく。
狂ってる。閻魔は狂ってしまった。
そう思わせる姿だ。

「あははっ…あーっはははははハハっ」

辺りは瓦礫の山だ。
囚人は皆辛うじて生きている。

「とどめいっとく〜?」

閻魔が手をかざす。

「死ね。」

衝撃波が地面を襲い、崩れていく。
囚人は皆埋もれてしまった。

閻魔の笑い声が響く。
囚人の呻き声も
血の臭いも
人の焼ける臭いも
もう何でもない。

閻魔の笑い声は何よりも
不気味で恐ろしい。

鬼男は冷や汗が止まらない。

あぁ…やはりこの人は
゛閻魔大王 ゛




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