ぷらいべーと

□ナイトプール(とその準備)で起きた出来事
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「先輩っ、今、いいですか?」
夕方、会社で後輩子ちゃんがひょい、とパーティションの上から覗いて。
「・・・あら。後輩子ちゃん。なぁに?」
そのまま、くるり、とパーティションを回り込んで私の隣にやってきた。

最近、プライベートでは藍子さん、って呼んでくれるようになった彼女も会社では相変わらず先輩って呼ぶ。
『だって。急に呼び方、変わったら変でしょ?』だって。
私達、結婚しました、とか。呼び方、変えた経緯を事細かに説明するとか。
・・・ああ、『恥ずか死ぬ!』んだっけ?

私がそんな事を考えているとは知らず。
「・・・忙しい、ですか?」
彼女はもう一度、心配そうに私を覗き込む。

私はにこやかに微笑んで。
「ハニー。僕が今まで何かを君より優先した事があったかい?」
彼女の方に向き直って、きゅ、って腰を抱く。
「や、やだっ、あい・・・先輩っ。」
困り眉をした後輩子ちゃんのお尻をこっそり触ってたら。
「・・・藍子さんっ・・・だめ、ここじゃっ・・・」
囁くような小さな小さな声で後輩子ちゃんが呟いて、私の手がぎゅうぅ、ってつねられる。
私はあっさりと手を引いて。
「後輩子ちゃんの方から来てくれるなんて。めずらしーね。」
彼女は思い出したように。
「そ、そうっ。先輩っ。今度の土曜日、空いてますか?」

私は携帯のスケジュールを確認して。
急ぎの仕事、ない。
・・・あー。律澪、書かなきゃ、だけど。(この時、「あなたに狂わされて。」を書いてました。)
土曜日までには仕上がるだろう。あと仕上げんとこだけだし。

「空いてる、空いてる。なぁに?デート?」
後輩子ちゃんは、ぱぁ、と嬉しそうに笑って。
「良かったぁ。これ、一緒に行きません?」
後輩子ちゃんが机の上に置いたのは、とある高級ホテルのプールの招待券。
「・・・プール?」
後輩子ちゃんはちらちらとこちらの様子を伺いながら。
「営業部でお客さん用に準備したんですけど、お客さん、行けなくなっちゃって。もう今度の土曜日で期限切れちゃうんです。」
「・・・お昼間だと焼けちゃうから、夕方からのにしません?」
青くライトアップされたプールでセレブっぽい男女が笑い合ってる写真を指差す。
私は、にぱ、って笑って。
「いいね!・・・あ、でも私、今年の水着、まだ買ってないかも。」
後輩子ちゃんはもじもじしながら。
「私も、です。・・・なら、一緒に買いに行きません?」
上目づかいで、じっと見つめてくる。

・・・私の攻略法、研究されてるなぁ。
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