律と澪の部屋

□My Lost Memories
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「・・・嫌だった、か?」
律が不安そうに聞いてくる。
「い、嫌じゃないけど・・・」
あれ?なんかドキドキする。
律は上目使いでじっと見つめて、私の答えを待っている。
「けど?・・・私のこと、どう思ってる?」
あれ?律ってこんなにかわいかったっけ?
「そ、そのぅ・・・分からない、よ。・・・いやっ、私だって律のこと、好きだぞ!小さい頃からずっと一緒だったし、一番の親友だって思ってるし、だけど・・・」
妙に恥ずかしくなって私も目を逸らす。
「急に言われたって・・・そんな・・・」
「・・・そっ、か。」
律はベッドの上に座り直した。膝を抱えて並んで座る私と律。片耳から聞こえるラブソング。
「・・・あ、あのさ、律。」
思えばこの時、すでに私は律にハマってしまっていたんだと思う。
「私のこと、好きって・・・あの・・・キスとかしたいって、そういうことなのか?」
「・・・してみるっ!?」
律はすごい勢いで私の方に向き直った。ベッドがぎし、と音を立てた。
「え?・・・あ、と、その・・・ちょっ、まっ・・・」
すごいドキドキする。ラブソングが聞こえなくなるくらい。
「み、澪・・・きっとさ・・・キスしてみたら、嫌かどうか分かると思うんだ。」
・・・おい、律、なんだ、その理屈。私のファーストキスの行方はどうなる。
あ、両肩つかまれた。・・・律の目、すごいマジだ。
や、律、顔近いよ。あれ?律も顔、真っ赤だな。
どうしよう、目、閉じたほうがいいのかな。
なんだか律のいい匂いする。い、息とかどうしたらいいんだろ。
頭の中ではぐるぐる考えたけど体は全く動かなかった。
唇が触れる瞬間に目を閉じた。律の両手が肩から背中へ回ってくる。
抱きしめられる。わ、背中、まさぐられるとぞくぞくってする。
律の唇、思った以上に柔らかい。・・・あれ、なんか・・・すごく気持ちいい。
「・・・ん、んぅっ・・・」
息が続かなくなったところで、ちょうど律の唇が離れる。
律も息を止めてたみたいだ。荒く呼吸をしながらじっと見つめ合う。
「・・・どう、だった?」
不安そうな律。恥ずかしくなって私は俯いた。
ちょっと迷ったけど、素直になることにした。
「・・・柔らかかった。」
きょとんとする律。
「いや、澪、そうじゃなくて、その・・・んむ?」
私は左手を伸ばして律の唇に触れる。
「小さい頃から長い間、ずっと一緒にいたのに、律の唇がこんなに柔らかいなんて・・・全然知らなかったよ。」
律があんまりじっと見つめるから。目を逸らそうと思って律の肩に顎を乗せる。
「すごくドキドキした。それで・・・もっともっと律のこと、知りたいって思った。」
意図せず、律の耳元で囁く。
「・・・ねぇ、これって恋なのかな?」
言ってみたら予想以上に恥ずかしかった。
真っ赤になって俯いたらぎゅうって抱きしめられた。
「あーもう!こんなん我慢できるかー!たっぷり教えてやるぜ、子猫ちゃーん!」
そのまま、ベッドに押し倒される。
「ちょ、ちょっと待て!待てってば、りーつーっ!」
「待ーてーなーいー!かわいすぎんぞ、澪−っ!」
弾みで二人をつないでいたイヤホンは取れちゃったけど。
ラブソングはもう必要なかった。
ねぇ、律。私、きっと一生忘れない。律が勇気を振り絞って私に告白してくれたこと。
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