律と澪の部屋

□あふれちゃう・・・
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着いたのは高級ホテルのレストラン。
私は澪の腕にぎゅってしがみついて。
「み、澪。ほんとに大丈夫?すっごく高そう。」
澪はぺろ、って舌を出して。
「うん、高かったぞー。バイト代、全部使っちゃった。」
「え?いいの?そんなに?」
「いいよ。律の誕生日だもん。」
澪はにっこり笑って。
「・・・私って健気な娘。身も心も律に尽くすの。」
おかしそうにくすくす笑う。
どうも今日は調子がおかしい。
私達、二人とも変だ。
「ええい。もう!台無しだよっ!」
私は笑いながら。
内心はドキドキしてた。

「う、わぁ・・・すごーい。」
ちょっと照明を落とした店内に落ち着いた内装の店内。各テーブルにはキャンドルの灯り。
「素敵なお店、でしょ。」
「うん。すっごくいい雰囲気。」
私はうっとりとして辺りを見渡した。
・・・んんん?
一つ向こうの席の人、今キスしなかった?
隣の席の人はおでこくっつけ合いながら食べてるし。

「さ、律。」
澪は椅子を引いて私に座るように促す。
「えっ。えっええ。うん。」
やーん、こんなお姫様扱い、生まれて初めてー!
私は澪を見上げながら、椅子に座る。
「あっ、ありがと。」
澪はふふって笑って。
「どういたしまして、お姫様。」
ほっぺにちゅ、ってキス。
私はほっぺを抑えて。
「そんな、お姫様だなんて・・・」
目を伏せてボソボソとつぶやいた。
これって。これっていつもは澪がこうなってるはずなのに。

「・・・はい。予約してあるコースで。ワインはこれ、かな。」
「かしこまりました。どうぞごゆっくり。」
オーダーを済ませた澪が私に向き直る。
私は目を上げられなくって、ちら、と澪を盗み見る。
そういえばテーブル、ちょっと横長で、すこし体を伸ばせば澪の唇に届いてしまいそう。
私の頬が急に熱くなって。

・・・こ、こら、ドキドキ、静まれっ。
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