ぷらいべーと

□とある金曜日に起きた出来事
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ブー、ブー、ブー。
携帯のバイブがメールの着信を告げて、私は心臓が喉から飛び出るほど驚いた。
慌てて携帯を殺して、そーっと、後輩子ちゃんの様子を伺う。
くぅくぅ、という可愛い寝息が聞こえて。
「か、確認終了、っと。」
私はほっとして、言い訳しながら、そっと布団を戻した。
携帯を見ると、もうほぼ10時。
メールのほとんどは取るに足らないダイレクトメールだったが。
「あ、菫ちゃんからコメント、もらってる。」
『ほぉかご症候群』の日記にコメントをもらった事を告げるメールがあるのを発見して。
私はチラチラ、と後輩子ちゃんの様子をうかがいながら。
「菫ちゃん、おはよん。
あの・・・今、私の部屋なんですが。
何故か後輩子ちゃんが隣で寝てます。
一応、お互いに着けるべき物は着けてるみたいなんですが・・・
これって、食べちゃったってコト?
それとも食べられちゃったってコト?」

ここまで書いて。

もし食べちゃってたとしたら。
記憶がない事とはいえ、とんでもない事をしてしまった。
・・・いや。むしろ覚えてない、なんて言ったら痛恨の出来事なのでは?

食べちゃってないとしたら。
この状況で食べなかった理由があるはずだ。それもかなり複雑かつ深刻な。
・・・それを覚えてない、と彼女が知ったら?
八つ裂きにされるかもしれない。

ズキズキと痛む頭を抱えた私は、混乱したまま、日記コメントを続ける。
「頭、痛い。・・・何も思い出せないんだけど、何も思い出せないって言ったら後輩子ちゃんにすごく怒られる気がする。
彼女が起きる前に何か思い出さなければ。すごいピンチです。」
・・・たすけてぇぇぇぇ。
私は心の中で叫んで。
でも何も思い出せない事は今まで飲み過ぎた時の経験で大体分かっていた。
「どうせ後で怒られるなら、思い切り楽しんでおこっと。」
私はあっさりと諦めて、後輩子ちゃんの背中に寄り添って。
うなじに鼻を寄せて、ふんふんって匂いを嗅ぐ。
・・・ちなみにこれは私がヘンタイだからではなく。
可愛い女の子が寝ているのだから、匂いを嗅がないのはむしろ失礼ではないだろうか。

あ、これ・・・こないだあげたヤツだ。
シャネルのアリュール。
甘い香り・・・とわずかに彼女の汗の匂い。
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