ぷらいべーと

□とある金曜日に起きた出来事
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後れ毛をふんふんってされてくすぐったかったのか、彼女はすぐに、ふよ、と目覚めて。
「・・・せ、ん、ぱい?」
彼女が事態を把握するまで、わずか数秒。
「ひ、ひゃあぁぁっ・・・」
可愛い悲鳴を上げて跳び退って。
「何!何してるんですかっ!」
布団からはみ出しそうになって、慌てて私の方に向き直って布団の中に戻る。
私は二日酔いのとぼけた頭のまま。
「・・・後輩子ちゃんの匂い、嗅いでた。」
「いい匂い。ありがとう、あの香水、付けてくれてたんだね。」
後輩子ちゃんは怒ろうとした矢先に出鼻をくじかれた様子。
「・・・もう。シャワー前の乙女の匂いを嗅ぐのは厳禁って言ったでしょ!ダメ!絶対!」
「香水・・・当たり前じゃないですか。先輩とのデートだもん。」
ふよん、って照れ臭そうに私に寄り添う。
私は意を決して。
「あ、あのね、後輩子ちゃん。」

「私達、そのぅ・・・しちゃったの?」

おそるおそる、聞いてみた。
「・・・覚えてないんですか?」
「う、うん。ごめん。酔ってて。」
はぁ、というため息が聞こえて。
「・・・何もなかった、ですよ。先輩、部屋に着くなり、ばーって服脱いで。」
「私を押し倒してそのまま寝ちゃったんです。」
後輩子ちゃんはもそもそ、と恥ずかしそうに布団をもう一度引き寄せて。
「服、着たままだと皺になっちゃうから、脱がせて、って言っても一向に離してくれなくて。」
「・・・ごめん。」
「ほんとはしちゃった事にしても良かったんだけど。」
後輩子ちゃんは、きゅ、って私を下から睨みつけて。

「そしたら。先輩とのえっちが酔ってしちゃっただけの過ちになっちゃう。」
「あなたとのこと。過ちにしたくないから。」
後輩子ちゃんはにこ、と笑って。
「えっちする時はお酒飲んでない時、してくださいね。」

「後輩子ちゃん・・・」
「ねぇ、先輩?」
後輩子ちゃんは依然として、何やら布団の中でもそもそしながら。
「・・・私が寝てる間・・・見た?」
ぎくり。私は懸命に平静を装って。
「見た、って・・・何を?」
きゅ、って彼女は私を睨んで。
「昨日、先輩の好みに合わせて。下着、着替えてからスタバ、行ったんですよ?」
ああ、そうだった。
彼女は私のコトなんか全てお見通しなんだった。
「みっ。ミテナイ。見てないよ。」
私はそれでも懸命に否定する。
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