さわ子と紬の部屋

□キモチ、ツタワル。
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Respect to 謎の彼女X

その時。
別に何か見たいものがあったわけじゃない。
ムギがお泊まりに来てて。
ソファに並んでぼんやりと深夜番組を見てた。
それは不思議な感覚の恋愛アニメ。
「よだれ」を介して感情を伝達する主人公の女の子。
その伝達先が恋人である男の子だけでなく、その主人公の友達になりたい、という女の子にも伝達して。

・・・あ、これ、ムギが好きそうな展開だなー。

感情だけでなく、怪我まで伝わって。
膝を怪我している主人公の怪我がその娘に伝わる。
私はちらり、とムギの方を横目で伺う。
ムギは目をキラキラさせながら、じっと画面に見入っていた。

・・・やっぱりね。

ムギはアニメに集中しているみたいだったので遠慮なくその横顔を堪能することにした。
震える長いまつ毛。
うるうると潤んだ瞳。
ちょっと上気した頬。
瑞々しい唇。

・・・惚れた弱みってこういうことを言うのかな。
ムギのどこを取っても愛しくて。
たまらなく愛しくて。
一つ残らず食べてしまいたい。
待て待て。
ムギは今、テレビに集中してるでしょ。
そんな彼女に襲い掛かったりしちゃダメ。
大人はそんなコトしないの。
・・・でも可愛い。食べちゃいたい。
早く終わらないかな。
私は正にお預けを食っている狼状態で。
テレビと彼女を半々で見てた。

程なくして、アニメは終わって。
エンドロールが流れる中、ガマンできなくなった私はそっと彼女に手を伸ばす。
なのにムギは感動の面持ちで、ほぅ・・・ってため息をついて。
「素敵・・・!」
私は急遽えっちな手つきから切り替えて、ムギの髪の毛を優しく撫でてやる。
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