さわ子と紬の部屋

□はじめての教育実習 Love & Roll!!
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「教育実習ぅ?」
私は怪訝な顔でムギを見つめた。
「ええ。聞いてません?2週間後から、桜高で1ヶ月間。大学で英語の教職課程、取ってるんですよ。」
「あ、あー・・・そういえばそんな事言ってたっけ。」
確かに教員会議で聞いた気がする。
どんな人が来る、とか、名前とか、他の教科だから聞かなかったのか。
「うふふ。私達、1ヶ月間、同棲ですねっ。夫婦ですねっ。」
ムギはくすぐったそうに言う。
「え?あ、ここから通う?」
教員会議のことを思い出していた私は不意を突かれて間抜けな答えを返す。
「・・・だめ?」
「だ、だめじゃないけど・・・」
ムギはぷぅ、とふくれて。
「もう!せっかく1ヶ月も一緒にいられるのにさわ子さん、全然嬉しそうじゃない!」
そっぽを向いてがっかりした声を出す。
「私はずっと前から楽しみにしてたのに・・・」

・・・ああもう。
ふくれている顔まで可愛いなんて反則だ。

「ごめんごめん。突然だったから。ねぇ、怒らないで。」
私は恋人のご機嫌を取るべく、ふにゃ、と背中から抱きついて。
「・・・知らないもん。」
なおもそっぽを向くうなじに唇を這わせて、わきの下から手を入れて柔らかい胸をふにふにって揉みほぐす。
「ねぇ、お願い。私がどれだけムギのこと、好きか、いつも教えてあげてるでしょう?」
ムギはくすぐったそうにカラダを縮めて。
「ああん、やぁんっ。さわ子さんのえっちっ。」
振り返った顔はもう怒ってなかった。
そのまま、私の腕の中にカラダを預けて、すりすり、って擦り寄ってくる。
柑橘系の香水の香りがする髪を撫でてやりながら。
「楽しみ、ね。1ヶ月間、うんとイチャイチャしよ?」
ムギはちょっと私を見上げて。
「・・・うん。あのね、ずっと羨ましかったの。」
そして寂しそうに目を逸らして。
「律ちゃんと澪ちゃんだけでも持て余し気味だったのに、梓ちゃん達が入ってきて、唯ちゃんと梓ちゃん、純ちゃんと憂ちゃんまで。」
「四六時中、好きな人と一緒にいられるってすごく幸せそうで。とっても羨ましかったの。」
きゅ、ってムギは抱きついてきた。
「うん。うん。その一ヶ月はずっと一緒にいようね。」
柔らかい彼女のカラダを抱きしめ返してやると、満足げにため息をつく。
「あのね、梓ちゃんみたいに、平日なのに、目に隈を作ったまま、眠そうにしながら、ニヤニヤ思い出し笑いしたり。」
ムギはモジモジしながら。
「憂ちゃんみたいに、うっかり人目があるの忘れて、二人っきりだと思ってくちゅくちゅされちゃう、とか。」
私の方を期待を込めてチラチラ見て。
「澪ちゃんみたいに、食事するのも忘れて、夢中になってて、『2キロ痩せちゃった』とか言って、てへぺろするの、夢だったの。」
いやんいやん、ってしながら、嬉しそうにつぶやいた。
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