みんなの部屋

□姫初め
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2011年 元旦。

私達はいつものメンバーで平沢家にお邪魔していた。
平沢姉妹のご両親が恒例のラブラブ旅行でいないので、大人数が集まるのに便利だったのだ。

ただ、去年までと違うのは、お互いの関係。
去年、ムギが企画した卒業旅行で、私達はすっかりカップルになり、かつお互いがそういう関係であることを知っていた。
私と律、唯と梓、ムギとさわ子先生。正直なところ、最初は戸惑っていたけど、お互いにバレてしまったら、すぐに慣れた。
梓に拠れば、元々は私と律が仲が良すぎたのがいけないらしい。
「だ、だってお二人がラブラブだから、なんとなく意識しちゃったのが始まりだと思います。」
・・・そんなに外から見てもラブラブだったのかな?思わず顔がにやけるのをこらえる。
「そ、そうかな。梓と唯だって相当なもんだったと思うぞ?」
私はムギが唯と梓がじゃれてるのを見て萌えてたのが初めのような気がするんだけど。

「皆さーん、お雑煮ができましたよー。」
「はいはーい。通して下さーい。」
奥からエプロンをつけた憂ちゃんと純が出てくる。
梓からの情報では、最近この2人も怪しいらしい。
お雑煮のお椀を渡してくれる純を思わず見つめる。
「・・・澪先輩?なんか付いてます?」
「あ、ああ。ごめんな、全部やらせちゃって。」
「全然。ほとんど憂が作って、私はお味見係なんです。」
二人で仲良くお雑煮を作っている姿が浮かぶ。
この二人はまだきっと『友達』だな。

「よーし!じゃ乾杯しようぜ!」
平沢家の大きめのコタツの4辺に。2人ずつ4組が並んで座る。
乾杯用に律が取り出したのはスパークリングワイン。
「お、おい、律・・・それお酒じゃないか。」
大学に入った私達は、仲間内ではもうお酒を飲むようになっていたけど。
今日はさわ子先生がいるから、おそるおそる言ってみる。
「あら。私は別にかまわないわよ?」
「あなた方はもう管轄外ですからね。憂ちゃん、梓ちゃん、純ちゃんはまだ私に見えないトコで飲んでね?」
・・・それでいいんですか、先生。
「さーっすが、さわちゃん、分かってるぅ!」
律は嬉々としてみんなにお酒をついで。
「じゃあ、みんな。用意いいかー?」
「せーの。明けまして!」

「「「「「「「「おめでとうございまーす!」」」」」」」」

みんな一斉に乾杯をした。
私はお酒はまだ苦手だったので、ほんの少し飲んでみる。
あれ?なんか甘くておいしい。
「今年もよろしくな、澪。」
差し出されたグラスに私のグラスを併せて。
「うん。今年も、よろしく。」
来年も、その先もずーっと。よろしくお願いします。
こっそり心の中でつぶやいた。

後にして思えば、お酒が入ったのがまずかったのかもしれない。
意外に飲みやすいお酒ばかりだったので、私はあっという間に酔ってしまった。
周りを見ても、唯も律もムギも明らかにテンションが高い。
さわ子先生は顔は赤いけど、まだ大丈夫そう。
梓と純と憂ちゃんの在校生トリオは乾杯だけでジュースに切り替えたみたい。
私達はお雑煮を食べ終わった後もちびちびとお酒を飲んでいた。
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