みんなの部屋

□お年玉!
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「今年の初詣では桜高に集合よ!」
さわ子先生から号令がかかったのは去年の暮れ。

1月3日の朝。
私達はぞろぞろと桜高に集まってきた。
「ねぇ、制服着てこなくて良かったのかな?」
私はちょっと不安になって。
恋人の直に聞いてみた。
直は眼鏡を光らせて。
「・・・大丈夫でしょ?どうせ休みの間の学校なんて誰も来てないよ。」
私はミニのスカートに二―ハイのソックス。
直はキュロットスカートに黒のハイソックスを穿いてる。
直は私の方をちらりと見て。
「菫の私服って新鮮ね。よく似合ってる。」
そして真っ赤になって顔を伏せる。

「・・・可愛い。」

・・・ぶっきらぼうだなぁ。でも嬉しい。
「ね、腕組んでもいい?」
直は一層真っ赤になって、困ったような顔。
「う、うん。いいよ。」
「ありがと!」
私の方が背が高いから。
ちょっとかがんで腕を組む。
ほっぺにちゅ、ってしたら。
直はびっくりしたような顔をしてほっぺを抑えてる。

「あれ?ダメだった?」

直はふるふるって首を振って。
「う、ううん。柔らかくって。すごくキモチよかったから、びっくりした。」
「ふふ。直ってほんとに正直だよねー。」
私は嬉しくなって、ちゅ、ちゅって何度もキスをした。

「・・・道端でいちゃいちゃしてるバカップル、発見。」

「「ぴぃっ!」」
振り返ると前部長の田井中 律さん。
チェックのレギパン、黒のロングセーターにもこもこのショートダウンコート。
その律さんの腕を引っ張って。
「こら。いじめちゃだめだぞ。」
横にはベースの秋山 澪さん。
マキシロングのワンピースをロングのダウンのコートで包んで。
首元にきれいな銀色のチョーカー。
さすが大学生。大人っぽい。
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