みんなの部屋

□プロジェクトH!
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作者注:
このSSは性格上、視点がころころ変わります。−−−−−という印は視点が変わった印。切り替わった視点でお楽しみ下さい。

「ねぇねぇ、唯。ちょっとちょっと。」
夏休みも終わりに差し掛かったある日。
律っちゃんが自分の寮の部屋のドアを開けてちょいちょい、と私を呼んだ。
「うぃーす。どしたの、律っちゃん。」
律ちゃんは私を部屋の中に入れて。
厳重に誰もいないか確認した上で、後ろ手でドアに鍵をかけた。
「・・・なんで、鍵かけるの?・・・まさか!」
身を堅くして、部屋のすみに逃げる私。
「ふふふ、逃げても無駄だぜ・・・って、やっすい昼ドラかっ。何を想像してるのかだいたい分かるけど、違うぞー?」
「・・・デスヨネー。」
私はぺろ、って舌を出して、昼ドラごっこから現実へと戻ってきた。
「んで。なーに?」
「あのさ。こういう催しがあるの、知ってる?」
取り出したチラシには「ハロウィンパレード 出場者募集!」って大きく書いてあって。
魔女とかのモンスターが描かれている。
「あ、ハロウィン!いつだったか、梓と一緒に仮装したいねって言ってたんだぁ。へぇ、もう募集してるの?」
「そうだぞ。このパレードは年々大きくなってるにも関わらず、人気ですぐ募集人員に達しちゃうんだ。」
律っちゃんは悪いコト考えてる時の瞳で。
「そこで!今年は我々も参加しようと思う!」
私はくふふ、と喉の奥で笑って。
「律っちゃん。もしかして、同じコト、考えてる?」
律っちゃんはすすす、と顔を寄せて、他に誰もいないのにひそひそ声で。
「ふふふ。えっちなコスチュームに身を包んだ澪や梓が大勢の前で恥じらう姿が見てみたい。そうは思わないかね、唯君。」
私もついひそひそ声になって。
「ふふふ。見てみたいっ。見てみたいです、教授っ。」
「しかしだ。いきなり恥ずかしがりの澪やマジメな梓に話を持ちかけると計画段階でご破算になりかねん。」
「ふむふむ。」
「まず、何も知らない・・・例えば純や憂ちゃん。これを引き込んで、外堀を埋める。」
「あ、それなら菫と直も呼ぼうよ!菫と直が来るって言えば、部長の梓も来る可能性が高いよ!」
「衣装はもちろんさわちゃん。そうすれば必然的にムギも賛成派に回るはず。」
「策士!策士だね、律っちゃん!」
「ふ、ふ、ふ。全米を震撼させる衣装以上の物を作ってもらうぜ!」
私達はキョロキョロと辺りを見渡して。
「お互い、悪よのぅ、越後屋。」
「いえいえ、お代官様にはかないませぬ。ささ、これは金色のまんじゅうでございます。」
小芝居をはさみつつ。
こうして、私と律っちゃんの「プロジェクトH(えっち)」はスタートしたのだった。
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