ぷらいべーと

□とある金曜日に起きた出来事
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「後輩子ちゃーん。待った?」
金曜日。私は珍しく早く仕事が終わって。
後輩子ちゃんをデートに誘った。
彼女は私に気づくと、ふゆ、と笑って。
「うん。いっぱい待ちましたよ。」
会社近くのスタバで待ち合わせ。
後輩子ちゃんがあんまり目立つの嫌だって言うから、会社は別々に出て、外で待ち合わせした。
私はちらり、と時計を見て。
「ごめんごめん。できるだけ急いで来たんだけど。」
とはいえ、まだ30分は待たせてないはず。
営業部門の後輩子ちゃんは原則残業はなしで、定時の上がり。
それからすぐ出たとしたって、私だって急いで出てきたんだから。
「ふふっ。嘘です。ちょっと着替えてたから、そんなに待ってません。」
彼女はいたずらっぽく笑って。
「でも先輩からのお誘いだから。早く来ないかなぁ、って。待ち遠しかったんです。」
ちょっと頬を染めて上目遣い。

うわぁぁぁ。

こゆとこ、ほんと、ストライクなんだよなぁ。
「・・・どう?ストライクだったでしょ?」
「えっ?・・・うっ・・・」
・・・エスパーか?エスパーなのか?
「先輩のことなんて、全部お見通しです。」
彼女はスタバのスツールから降りて。
「行きましょ?どこ、連れてってくれるんですか?」
ふわり、と彼女は私の腕を取って。
「うっ・・・うん。私がいつも行ってるバーなんだけど。いいかなぁ。」

やっ・・・やわらけー。

私が全く違う事を考えながら熱くなった顔を逸らすと。
「嬉しい。先輩の行き付けのとこ、連れてってくれるの?」
私よりやや背が低い彼女は、つい、と私の腕を引っ張って。
「・・・先輩のえっち。今、やらしーコト考えたでしょ。」
耳元でこしょこしょ、って囁く。
エスパーだ!この人、エスパーだよ!
「そっ、そんなことっ・・・」
私が思わず向き直ると、彼女はぺろ、と舌をだして、にっこり笑う。
「・・・ある、けど。」

これはひどい。・・・完敗だ。
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