律と澪の部屋

□私の一番好きな曲
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初めはこんなはずじゃなかった。
「あっ・・・んぃっ・・・み・・・みおぅ・・・激しすぎるよぉぅ・・・」
初めて澪と体を重ねた時。
澪は何にも知らなくて。
私にされるがままになっていたのに。
いつのまにか。
「ふふっ・・・律、かわいーよ。・・・キモチいい?・・・知ってるよ、律、ここ好きだもんね。」
これだからまじめで一途な奴は困る。

彼女はあっという間に私のやることを真似、私のツボを探り、私を追い詰めるようになった。
「・・・あっ、ゆびぃ・・・にほん、だめっ・・・すぐきちゃうよぉぅ」
彼女の長い指が中に入ってくる。リズムを刻む。
「これ・・・分かる?『ふわふわ』だよ。」
敏感なところを指が動き回る。爪弾かれる。その度、カラダの中全部、かき回される。
おかしくなりそう。『ふわふわ』のメリハリの利いたベースのリズム。
薄く目を開けると目の前に真っ赤になった澪の真剣な顔。
「んぅっ・・・ひ、ん・・・も、もぅだめぇぅっ!んんんん!」
寸前でキスで塞がれて。そのまま上り詰める。行き場を失った澪のリズムが私の体の中で跳ね回る。
息が苦しくなるまで。私達はつながっていた。
澪は私から指を抜いて、不思議そうに見る。
「・・・律、すごいよ。こんなになってる。」
ばか。恥ずかしさで顔が熱くなる。
でも私は頭の中が澪の刻んだ『ふわふわ』のリズムで一杯で、ツッコむことすらできなかった。
普段は・・・今も人前では相変わらずの恥ずかしがりのくせに。
いつのまにか。
「えへへ・・・なんか嬉しいな。律が私でこんなになってくれるなんて。」
・・・ああもう。その笑顔、反則だろ。かわいすぎだよ、澪。
「なんかさ、演奏と似てるよね。初めはなかなかいい音が出ないんだけど、一生懸命やってるとさ、そのうち、どんどん良くなってくるんだ。」
普段のクールな澪とは違う澪。こんなに饒舌で表情豊かな、私しか知らないかわいい澪。
・・・んん?
「・・・ちょっと待った。今、私とエリザベス一緒にしたでしょ?」
んむ?と口ごもる澪。ちょっと拗ねてそっぽ向いてやる。
「いやっ・・・律、そういう意味じゃなくってさ。」
「私とエリザベス、どっちが大事なの?」よよ、と泣き崩れるフリ。
「ばっばか。・・・そんなの分かってるだろ。」
「・・・うん。知ってる。でも言って?」
澪は私の反撃にんぐっ・・・と詰まって目をそらした。あー、耳まで真っ赤になってんぞ、澪。
「りつ 。」
「・・・なに?」
澪はもう一度私に向き直って。
「呼んだんじゃないよ。律が大事なの。世界で一番律が大事。どうしていいか分からないくらい、律のこと、好きだ。」
そういうと澪は真っ赤になったまま、私の胸に飛び込んできた。
・・・殺す気か。
もう私、幸せ過ぎて死んじゃうぞ。
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