律と澪の部屋

□狼さん、ご用心!
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「うぉー、すげーっ!何、このベッド!横に寝れるぞ、横にっ!」
「確かに、すごいな!部屋も広いし!」
私達は放課後ティータイムのメンバーとさわ子先生の6人で卒業旅行で海外に来ていた。
まぁ、卒業旅行といっても、梓とさわ子先生も無理矢理連れてきちゃったし、結局いつものパターンなんだけど。

例によってムギの別荘・・・という企画もあったんだけど、残念ながら今回は空いてなかったらしい。
代わりに、と言ってムギが「父の経営するグループの旅行会社」なるところから持ってきた格安旅行券。

ホテルを見て。梓があっけに取られてつぶやく。
「まさか・・・このホテルですか?」
「そうよー。このあたりではいい方だと思うんだけど。」
格安っていうからてっきり安宿かと思ったら・・・頭文字に「H」のつく高級ホテルだった。
・・・こりゃまた絶対赤字だな。かわいそうに。
「6人で泊まれるお部屋がなかったから、2人部屋になっちゃったの。」

そう。今までと違うこと。

今まで合宿とか修学旅行とかはみんなと雑魚寝だったけど、今回はホテルだから。2人部屋。
嫌が上にも増す期待。とことんまで上がるテンション。
ムギは満面の嬉しそうな笑みを浮かべて。

「もちろん部屋割りは、律ちゃんと澪ちゃん、唯ちゃんと梓ちゃん、私と先生でいいわよね?」
「やけにハイテンションだな、ムギ。」
それにしてもなんとなくテンションがおかしい。
「なぁ、ムギ?まさかと思うけど、さわちゃんとその・・・」
「ふふふ。・・・秘密。」
やたらに嬉しそうなムギの向こうでさわちゃんがそわそわしている。
「わーい、あずにゃんと一緒ー。」
いつもと変わらない唯の代わりに抱きつかれる梓のほうは嫌がる事も忘れて固まっている。
「・・・梓、大丈夫か?」
「おい、梓?」
「あーずさ?」
「・・・日本人形?」
「・・・はっ。」
純から聞いといて良かったな。しかし、なんだ、これ。
「べ、別に唯先輩と一緒の部屋なんてなんてことないです!ドントコイです!」
「はいはい。分かったから。もう部屋行こうな。」
こうしてそれぞれの思惑が渦巻く夜が始まったのだった・・・
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