律と澪の部屋

□シーソーゲーム
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「第1回!N女軽音部1回生 女子会〜!」
「わーわー!ぱふぱふ!どんどんどん!」
私の声にいつものメンバー、唯、ムギ、澪に加えて幸、菖の5人が盛り上げる。
「まぁ、女子大だから、女子会なのは当たり前なんだけどな。」
「・・・で?なんでそれが律の部屋なんだ?」
晶はただ一人不服そう。
「いいじゃん。安上がりだし、気楽で。」
「そりゃそうだけど。もう大学生なんだし、普通は飲み屋を押さえるとこだろ!」
噛み付きそうな勢いの晶に。
「ごめんな、晶。」
澪がとりなしてくれる。
「私達、いつもこうだったから。お茶会の延長みたいなもんで、さ?」
晶はう、と言葉に詰まって。
「み、澪がそう言うんなら仕方ないけどさ。」
そうか。晶はこういう風に扱えばいいのか。
菖がすかさず耳打ちしてくる。
「すごいよ。晶のこと、短期間でここまで手なづけるなんて。」
「うーむ。人見知り同士、相通ずるものがあったんだろうか。」

「それにしてもお菓子ばっかりね。」
幸が感心したように言う。
「うん!お菓子が基本だよ!あのね、高校の時も練習の前に必ずお茶会だったんだぁ。」
唯がだらしなく、てへへ、と笑う。
「今日はマドレーヌといちごショートよ!」
ムギが人数分のマドレーヌといちごのショートケーキを山盛りにして持ってくる。
「ムギちゃんのケーキはおいしいよ!」
唯は真っ先にマドレーヌとショートケーキを確保して。
「うぇ・・・そんなに甘い物ばっかり良く食えるな。」
晶がさっそく顔をしかめる。
私はそっと澪を振り返る。澪は心得たとばかりに。
「晶、甘い物嫌いなのか?お酒もこっちにあるぞ。」
「・・・しょーがねーな。食べる、食べるよ。」

「あれもポーズなの。ほんとは甘い物に目がないんだから。」
菖がおかしそうに笑う。
「へぇ・・・良く知ってるな。」
私が感心したように言うと。
「そりゃね。長い付き合いだもの。」「・・・だもの。」
菖と幸が返す。
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