律と澪の部屋

□ハッピーエブリディ!
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「ねぇ、律?」
私はいつものように、恋人のほっぺに、ちゅ。
「・・・ん、なぁに、澪。」
まだ眠そうな律は、私の唇を追いかけて、ちゅ。
「あのさ、・・・。」
私は言いかけて、口ごもる。
「・・・なんでもない。」
またぼすっ・・・とベッドに倒れこんだ。

ここは寮の律の部屋で。
律の匂いがする律のベッド。
どっちかが大学の課題があるとか、風邪引いて熱がある、とか。
そんな時を除いて、お互いのどちらかの部屋で夜を明かすようになっていた。
私はどちらかというと、律の匂いがする律の部屋が好きだったから。
律に言われない限り、律の部屋にお邪魔していた。

私がベッドに突っ伏していると、律が体を起こす気配がして。
「どした?・・・澪?」
律の手が優しく私の髪を撫でる。
ああ。気持ちいい。
「ん・・・なんでもないよ。」
律の手はまるで麻薬。
常習者の私は撫でられるとうっとりとしてしまう。

ちょっと目を上げて律の表情を盗み見る。
心配そうな顔。
長い付き合いだから分かってる。
律はいつでも私を心配してくれて、私に気を使ってくれてる。
だから、引っ込み思案で恥ずかしがりな私はそれに甘えて、少しだけ勇気が出せる。

今日は私の誕生日。
どんなお祝いしてくれるのかな。
何か欲しいわけじゃないの。
一言だけ。お誕生日おめでとう、って。
ちゃんと覚えてるよ、って言ってほしい。

だけど・・・
私は首だけで振り返って、律を見上げた。
律は私をまっすぐに見つめていて。
頬が熱くなって、また顔を背ける。

・・・聞けないよぉ。
私の誕生日、覚えてる?なんて。

ちらちらって律のほうを盗み見てたら。
律はにやり、と笑って。
「ふーん。」
「な、何?」
「もしかして、おねだり?」
言うなり、裸のお尻をくりくりって撫で始める。

「ちっ、違うっ。私、そんなえっちなコト、考えてないっ。」

私は本気で否定したけど。
私も律も昨日の夜、愛し合ってそのまま寝ちゃったから。
「うんうん。分かってるよ。澪。」
律は無邪気な笑顔で。
「朝からおねだりなんて恥ずかしすぎるもんねー。」
二人とも裸のままなのに。
律はすべすべのカラダを摺り寄せてくる。
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