律と澪の部屋

□ぴっとわーく。 Side律
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「・・・あっ。あっあっ・・・もう!邪魔すんなっ!」

今週末は大学の課題をやらなくちゃいけなくて。
だけど、明日の日曜日はなんとしても澪とデートしたい。
なので、昨日から私は自分の部屋にこもって完徹。
今日の晩御飯前になんとか終わらせて。
寮のご飯を食べた後、澪の部屋に遊びに来ていた。

「ああん、もう。なかなか抜けないなぁ。」
澪はテレビでF1・・・カーレースを見ていた。

私はくぁ・・・って、大欠伸。
「澪、ごめん。私、昨日、完徹だからさ。今日、もう寝ちゃっていい?」
澪は私の方を向いて。
「あ、ああ。ごめん。気付かなくって。」

『あーっと!XXXX、ここでコースアウトーっ!』

澪はアナウンサーの声に思わずテレビの画面を見つめて。
「あ、ああ、良かった。コース復帰できたみたいだな。」
ほっとしたようにつぶやく。
私は澪の視線を遮らないように、ほっぺにちゅ。
「F1見るのも好きだったんだ、澪。」
澪は照れくさそうに笑って。
「うん。つい最近だけどな。」
「赤いチーム、好きなの?」
「うん。応援してるんだ。このチーム、伝統があって強いんだけど、たまにポカするし。」
「そういうとこが毎回ハラハラするし、人間味があって好きなんだ。」
「へーぇ。うん。このチームの車だけ、赤で統一されててなんかかっこいい。」
私が素直な感想を述べると、澪は目をキラキラさせて。
「だろ!律もそう思うよな!」
私が同じ感想を持ったのが嬉しかったのか、ウキウキした様子で続ける。
「・・・それに。私、スポーツ見るの好きだろ?特にチームスポーツで皆がチームのために協力するとこが好きなんだけど。」
「これも同じなんだよ。チーム全員で勝つために戦うんだ。」

だけど、私は欠伸をかみ殺しながら。
「へぇ。カーレースってドライバー一人で戦っているイメージがあるけど。」
「違うよ。ほら、今、この赤い車がこっちに入ってきたの、分かる?」
「これをピットインって言って、チーム全員でタイヤを変えたり、給油したり、壊れた部品を取り替えたりして、できるだけ早くドライバーを行かせてやるんだ。」
澪が指差すテレビの中には同じヘルメット、同じレーシングスーツを着込んだクルーがわらわらとレーシングカーを取り囲んで慌しく作業をしている。
「うわぁ、すごい。何人いるの、これ。」
「何人かは私も分からないけど。」
澪は苦笑しながら。
「それぞれ役割はしっかり決まっているんだぞ。そして。」
「各自が与えられた仕事にしっかり集中するから。いい仕事ができるんだ。」
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