律と澪の部屋

□ぴっとわーく。 Side澪
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「ねぇ、律。今日、講義終わった後さ、私の部屋、来ない?」

私は律が以前プレゼントしてくれたチョーカーをして。
それは引っ込み思案の私のために律がくれた「えっちしたい」のサイン。
他の誰にも分からないとはいえ、私にとってはちょっと勇気を出さないと着けられないチョーカー。
なのに律は。
ぱしん!と手を併せて。
「ごめん!澪!」
私に頭を下げて。
「ちょっと大きなレポートがあって。出さないと単位取れないんだよ。」
そーっとこっちを見て、私の機嫌を伺ってる。
「土曜日までかかっちゃうかも。で、でも日曜日は空けるから、さ。」
私はふぅ、と溜息。
「そっか。ならしょうがないな。」

今日は木曜日。あと2日、かぁ。

「この後も菖と対策会議なんだよー。ごめんね。」
「どうせお前のことだ。早めにやっとけばいいものをずるずる伸ばしてたんだろ?」
律はびくんってなって。
「あ、ああら、そ、そんなコトはないわよぉん。」
「・・・菖に聞いてもいいか?」
律はだらだらだら、とトレードマークのおでこに汗をして。
「ほんっとうに申し訳ありませんでした!」
あっさり降参した。
私は律のおでこを軽くぴんってはじいて。
「仕方ないな。がんばってレポート仕上げるんだぞ。」
律は、ぱぁって笑って。
「うん。がんばってできるだけ早く仕上げるから。待ってて!」
「あ、菖、菖!・・・じゃ、澪、またな!」
律はちょうど通りかかった菖を捕まえて。
私はひらひら、とにっこり笑って手を振った。

「でさー。・・・はははっ、ほんとに?」
ちくん。
菖に向けられた律の笑顔にちょっと胸が痛む。

・・・ばかみたい。
それぐらい。普通じゃない。

それでも私は律と菖から目が離せなくって。
ふ、と菖が私の視線に気づいて目配せをする。
私の小さな嫉妬を見透かされちゃったような気がして。
私はそそくさとその場を離れた。

それから2日。
律はほんとにレポート頑張ってた。
私は遠くから律と菖が話してるのを見かけて。
見ていたくなくて。
目を伏せて逃げ出した。

「・・・あっ。あっあっ・・・もう!邪魔すんなっ!」
寮のご飯を食べた後、ふらりと律が遊びに来て。
ほんとはすぐに抱きつきたかったけど。
「ああん、もう。なかなか抜けないなぁ。」
素直になれない私は。
テレビでF1・・・カーレースを見ていた。
テレビに集中してるフリをして、横目で律の様子をチェック。
律はぼんやりテレビを見てるだけ。
・・・かまってくれない、のかな。
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