律と澪の部屋

□あふれちゃう・・・
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今から一週間前。
澪は私に呟いた。
「ねぇ、律?」
「なぁに。澪。」
私の部屋で二人ともくつろいでいる時。
「今度のさぁ。律の誕生日、ちょっと良さめのレストラン、予約したんだ。」
「えっ?嬉しい。お祝いしてくれるの?」
澪はふふって微笑んで。
「当たり前だろ。でさ、ドレスコード、スマートカジュアルなんだって。」
「えー?じゃ、ジーンズ、ダメだな。」
澪はちょっと頬を染めて。
「うん、あのさ。おめかししてきて。」
私はどん、と胸を叩いて。
「任せなさい!律っちゃんの女子力を見せてあげよう!」

・・・て、コトは当然澪もおめかししてくるはず。
おめかしして、ちょっと恥じらう澪を愛でつつ、美味しい食事が食べられるなんて。
味覚と視覚の両面でおいしそう。

澪が自分の部屋に戻った後、私はめったに着ないそのドレスを出してみた。
ホルターネックの黒のワンピ。
ミニで背中も大きく開いてるから、今の季節にはちょうどいいだろう。
「確か、ムギのパーティかなんかの時に着たきり、だよな。」
ブラもチューブトップのやつがあったはず。
「全然育ってないから、サイズ、大丈夫だな。」
一応着てみて。
ほらね、全然大丈夫。
私はドレスの上からぷに、と胸を揉んでみて。
「澪と同じような物、食べてるはずなのになー。」
がっくりと肩を落とした。

当日。
私はガラにもなく、待ち合わせ場所に早く着いてしまって。
「・・・なんだか、恥ずかしいな。」
いつもより女の子っぽい格好で。
最近レギンスとかジーンズばっかりだったから、ミニ、なんかすーすーして落ち着かない。
それに。
今日はいつものカチューシャがない。
こんなドレスと合わないかな、って前髪を下ろしてる。
「・・・やっぱ、こんなの、おかしーかな。」
やたらに人に見られている気がして、私は身をすくめた。
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