律と澪の部屋

□私達だけのルール。
1ページ/23ページ

「あちゃあ・・・」
バレンタインの朝。
私は寮の下駄箱の前で思わず頭を抱えた。

そこには10個ほどのチョコレートらしき包み。
念のため、宛名を確認してみる。
田井中 律さんへ。
やっぱり私宛だ。
「・・・澪には、気づかれないほうが、いい、よな。」

『へぇ、律。良かったな。いっぱいチョコもらえて。』
バレたら、多分。
にっこりと笑顔を貼り付けたまま、睨まれる。
『そんなにもらったら、何か入れるものが必要だな。ああ、これ、使うといいぞ?』
ほんとにいい笑顔で、『ゴミ収集用』って書かれたビニール袋を差し出してくるに違いない。
私は嫉妬に燃える澪を思い出して身震いした。

放課後。
軽音部部室は修羅場と化していた。
「信じらんないっ。なんで受け取っちゃうんですか、唯さんっ。」
「だ、だってだって、ファンの娘なんだよ?うかつに断れないよぉ・・・去年ももらったし、あっ・・・」
「去年も、ですってぇ?」
梓がソファでぶんむくれているのを、あわあわとチョコを抱えてとりなしている唯。

「ヴァイオレット。状況、報告せよ。・・・異常なし?OK、引き続き、目標を追跡せよ。オーバー。ザッ」
ムギは携帯に向かって何事か怪しげな通信をしてはため息をついている。

「人気者は大変だよねー。」
「うん。だよねー。」
純と憂のコンビは相変わらず、人目もはばからずキスをして。
ちゅ、ちゅ、ちゅ、ちゅく。
「あ、あん、純ちゃぁん・・・ここじゃ、舌入れちゃ、めっ。」
ぴしと憂ちゃんに注意されて、純が(´>ω∂`)てへぺろ☆ってウインクする。
「ごめんごめん。でも、憂。」
純はするり、と体勢を入れ換えて、背中から憂ちゃんに抱きついて。
「・・・ほんとに?だめ、なの?」
ソファに2人で倒れこむ。
ふに。ふにふにふに。
間を空けず、純の手が柔らかそうな憂ちゃんの胸に食い込んでいく。
「あ、ああん、純、ちゃぁん。だめ、だよぅ。えっちな声、出ちゃうっ。」
憂ちゃんが小声で切羽詰まった調子で囁く。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ